一部のマリーナ事業者は、政府の支援措置なしでマリーナを建設するのは困難で、費用もかかる旨指摘しているが、政府機関による積極的な支援は極めて限られたものとなっている。一部の州政府では、適切なマリーナの開発に対しては積極的に支持する旨明言しているが、政府自身、開発許可や環境規制の制約に縛られていることから、クィーンズランド州政府と北部準州政府が導入した特別法を除くと、マリーナ産業にとって実際に効果的な支援措置や特別な奨励策は無いと言っても過言ではない。
マリーナ産業にとって、もう一つの問題は、州政府と市町村との分権である。州政府が水路を「所有」しているので、浮桟橋やスウィング・ムアリングに対しては公共料金が課されるが、徴収された金額の大半が州政府の一般支出の財源の一部に充てられるため、海岸線や河川敷の改良工事や設備改善に充てる資金として地方自治体に還元されることがほとんどない状況である。
2.4 マリーナの使用料と業界の収益性
マリーナの使用料は、設備の種類や立地条件等に左右され、マリーナによってまちまちである。ザ・アンカレッジとセント・キルダ・マリーナの使用料の詳細を添付資料6に示しているが、その概要は表2−1のとおりである。
ウォーターフロントの土地が高価なため、大半のマリーナには陸上保管庫(dry storage)はない。例えばシドニー近郊は、バーケンヘッド・ポイントとアクーナ・ベイのダルボラズ・マリーナ(d'Albora's Marina)にしかdry storageはない。
フォークリフトを使う立体ラック式(rack and stack)か駐車場式(parking bay)の陸上保管庫の場合、ボートの維持費が節約できる上、マリーナ使用料も各ボートの電源や給水設備が必要ないために比較的安くなってる。マリーナの運営システムがしっかりしていれば、ボートのオーナーは、マリーナのマネージャーに到着時間を事前に伝え、到着時にはボートがドックに出され、すぐに乗船できる状態にさせておくこともできる。