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従来、海底又は河川底から平均高水位線までは政府が所有するものとされていたが、近年、マリーナのバースに関して、自由保有権を認める動きが出てきており、既に、クィーンズランド州政府及び北部準州政府は、バースの自由保有権を認める特別法(サンクチュアリー・コーブ・リゾート法1985年とカレン・ベイ法)を制定している。しかし、この種の法律が必ずしも円滑に実施されているわけではなく、例えば、カレン・ベイ・マリーナの場合、バースの自由保有権について10の官庁が関与し、申請から保有権獲得までに8か月かかったうえ、11種類、総額5万ドルにものぼる手数料が必要という。

 

一般的に、新規マリーナが抱える最大の課題は当該地域の関係者によって構成される環境問題に関するロビー活動団体である。80バース以上を有するマリーナの開発は「指定開発事業」とされるため、開発着手前に環境影響評価報告書が必要とされる。通常、こうした報告書の作成には多大の時間と費用がかかるものであるが、地域団体から苦情が出されると、更に時間がかかることになる。

各州政府はマリーナ・バースの環境に対する影響に関して指針を設けている。更に舟艇工業会(BIA)が各州政府の指針に従うガイドラインを定めている。

 

ニューサウスウェールズ州指針の要約を添付資料5に示すが、その他州指針もこれとよく似た構成になっている。これら指針には下記の内容が含まれている:

 

→ マリーナ及び施設利用船舶の双方を対象とする安全手順

→ 危険防止・緊急手順

→ マリーナ設備・施設の保守基準

→ マリーナの環境保全

 

全国統一規制を制定する動きもあったが、未だ行われていない。

ポート・スティーブンズのザ・アンカレッジの開発事業は興味深い事例として注目に値する。用地使用の最初の申請が1988年7月に環境保護庁に提出され、建設に着手できたのは4年5ヶ月後の1992年12月であった。開発業者は10もの政府機関と折衝しなくてはならず、また、地域団体や環境保護団体からの反対があったため、最終結論は法廷に持ち込まれてしまった。

 

 

 

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