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他州にも同様のプログラムがあるが、その多くが主に公共のプレジャーボート用施設のプロジェクトや安全確保のための資金援助であり、捜索救助やボート関連規則の執行を目的として水上警察等に拠出されている。

豪州国内の各州とも、その州にとって望ましい製造業やその他事業を誘致するための奨励策を各種提供しうる立場にあるが、プレジャーボート製造業は、往々にしてこれら奨励策を講じるに見合うだけの十分な雇用拡大効果や経済的なメリットがないというのが実情のようである。

 

1.6 プレジャーボート産業に関わる政府規制

豪州にはプレジャーボート産業に係る規制が多数あり、その大半が州政府の所掌となっている。(マリーナに関する規制は次章を参照のこと。)

規制が州ごとに異なるため、ボートの利用者や所有者に各種の混乱をもたらしている。規制の主な特徴は次のとおり。

 

→ 登録やボート・ライセンスの条件は州毎に異なる(添付資料3参照)。とりわけ、登録や操縦免許に係る機関馬力の条件の相違が大きい。

 

→ チャーター船や有料で乗客を乗せる舟艇など商業目的で使用される舟艇を除き、プレジャーボートの受検義務を課す州規定はない。何らかの事情で所有者が検査を必要とする場合には、「Uniform Shipping Laws(USL)Code」(国際安全規則の州法への取入れに関する州間協定)によって適用される基準に基づき、船体構造及び搭載機器等がチェックされる。検査は製造中及び竣工時に実施され、以後定期検査が行われる。通常、船体及び搭載機器の検査は州政府当局が行なうが、船級協会などの認定機関に検査が委託されることもある。国内全ての州がUSL Codeを遵守しているが、州内における法律の実施方法はそれぞれ異なり、例えば、一部の特定機器の検査の頻度、或いは他州及び州政府以外の認定検査機関による検査の相互承認に関する条件等について相違が見られる。

 

→ 国際航海する舟艇を除き、連邦政府へのプレジャーボートの登録義務はない。 連邦政府における登録は、当該船舶の特定及び国籍付与のために行われるものである。なお、舟艇関係の保険会社や舟艇に抵当権を設定する金融機関が舟艇の登録を所有者に義務付けることケースもあるが、これは通常極めて高価なプレジャーボートを対象としていることが多い。

 

こうした州毎の相違は、当然のことながらボート業界に問題を招来しており、当該規制の統一化が急務となっているが、こうした規制がボートの所有者や利用者に対して不当な制約を課している訳ではない。

 

 

 

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