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国際指向型の大規模事業者は、世界最高級の技術力と設計力を有しており、海外のトップクラスメーカーとも競合できる位置付けにある。しかし、これらの企業は、事業を持続させるのに必要な一定の生産量を維持するために、多角化した事業を展開する必要がある。

一方、小規模メーカーは、事業活性化の妨げとなる次のような要因に取り巻かれて、厳しい状況を強いられている。

・国内市場が比較的小さい

・国内の他のメーカーと過当競争関係にある

・相当規模の中古艇市場により、新造価格が低迷している

・キャッシュフローが貧弱である

1990年代当初、景気後退によるプレジャーボート市場の低迷により、相当数の製造事業者が廃業若しくは事業存続のための大幅な合理化(人員削減や間接費カット)を余儀なくされており、輸出余力を擁するまで生産量を拡大し得るプレジャーボート製造事業者は、豪州には少ない。

 

従来の豪州舟艇業界の弱点の一つとして、ボートの艤装やデザインが比較的貧弱であることが指摘されていた。豪州製プレジャーボートの強度や耐航性については、海外の競合他社に勝るとも劣らないという世界的な定評があったが、デザインは若干古く、インテリアの装飾も海外の水準に比べ見劣りのするものであった。これらについては、近年種々の改善がなされているものの、依然として業界全体の弱点となっている。

プレジャーボート製造業の長所と短所をまとめると、次のようになる。

 

→ 長所

構造的な強度

耐航性

競争力のある価格

現地調達可能な素材(アルミ、ガラス繊維)

実践的な経営手法

顧客と近距離にあることによるマーケティング及びセールス面のメリット

 

 

 

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