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クィーンズランド州には、比較的大規模なプレジャーボート・メーカーが少なくとも15社はあり、同州内における舟艇需要は、依然として堅調な伸びを見せている。クィーンズランド州でボート製造業が発展している主たる要因は次のとおりである。

 

→ 州の東南部は気候が穏やかで、湿度も比較的低いため、ガラス繊維製ボートを急速に乾燥させるのに適していること。

→ ボートメーカーのオーナーがクィーンズランドに拠点を移しているのは、政府の支援や奨励策のためではなく、主として、適切な気候やリラックスした生活等ライフスタイルの向上が目的であること。

→ コストや人件費が安いこと。ただし、最近、州政府が1980年代来の奨励策を廃止したことから、豪州東部の他州との差は縮少している。

 

ニューサウスウェールズ州をはじめとする他州にも、かなりの規模のプレジャーボートメーカーが何社かある(Seawind Catamarans社等)。また、西オーストラリア州では、パースやフリーマントル周辺に特注や量産型のプレジャーボート・メーカーが集中している(Condor Marine社、Sea Chrome社など)。一方、ビクトリア州に拠点を置くメーカーは豪州全体の2割弱で、南オーストラリア州に至っては数社しかない。

なお、製品別に舟艇メーカーの分布状況を見ると、量産型(標準型)舟艇のメーカーよりも特別注文を受ける舟艇を製造しているメーカーの方が比較的国内各地に散在している。ただし、特注のモーター付ヨット部門は例外で、これらはパース近郊に集中している。

ヨット部門で最も定評があるメーカーは、シドニーのMcConachy Boats社であろう。同社のレース用ヨットは有名で、3隻が豪州代表としてアメリカズカップに出場している。このほか、ニューサウスウェールズ州のタリー市にあるStebercraft社は主として商用舟艇のメーカーであるが、作業船等の船体を使ったセミカスタムメイドのレジャー用モーターボートや特別注文によるプライベート・ヨットも造っている。

パース近郊に集中している特注モーターヨットの主要メーカーには、次のものがある。

 

 

 

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