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豪州のプレジャーボート総輸出額は、1994/95年度の1億2,500万豪ドルからその後5年間に40パーセント減少した。これは豪州の景気回復に伴い国内需要が回復し、多くのメーカーが国内向けの生産で手一杯であったためである。

 

豪州は相対的には決して大規模な市場ではないが、多様な舟艇が製造されている。当然のことながら、主要都市(シドニー、メルボルン、ブリズベン、ゴールドコースト、パース)周辺に大半のボート製造事業者及びボート関連機器メーカーが集中している。各地域はそれぞれ独立した市場としても機能しており、ボート製造事業者を支える産業も各地域で固有の発展を見せている。

例えば、ビクトリア州ではマリーナの数が限られており、港も比較的少ないため、トレーラーに搭載できる舟艇が好まれる傾向が強い。加えて、海岸線が険しく、天候も不安定なため、他州に比べ内陸の水域がボート・レジャーの中心となっている。ビクトリア州市場では、現地のメーカーによる供給量が豊富ではあるが、人気ブランドの多くはクィーンズランド州に拠点を置くメーカーから供給されている。なお、各地域の市場独立性は、他製品の市場と同様、大手メーカーの事業規模の維持・拡大等により、徐々に薄れつつある。

 

豪州では、様々なタイプのプレジャーボートが多数生産されており、例えばモーターボートは60種類以上もの製品が市場に出回っている。買い手の方も一人一人が自分のボートが差別化されるようなユニークなデザインや特徴を要求する。

なお、大型モーターボートの約7割はFRP製であるが、小型ラナバウトについては依然としてアルミ製が最も高い人気を誇っている。

豪州のプレジャーボート製造業の特徴は、売上が年間100万〜300万豪ドルでローカル市場依存型の小規模な事業者が比較的多いことである。プレジャーボート業界で輸出余力を有するメーカーはごく僅かである。

 

国内における州別のプレジャーボートの生産状況をみると、最も多く生産されているのは、クィーンズランド州である。Haines、Signature、 Quintrex(アルミ製舟艇の量産メーカー)など、著名なメーカーが多数あり、トレーラーに搭載可能で売れ筋となっているモーターボートは同州で製造されているものが多い。このほか、豪州最大のパワークルーザー・メーカーであるRiviera Marine社やトレーラー搭載型及び非搭載型の多胴型舟艇の主要メーカーであるOstac Yachts社もクィーンズランド州に拠点を置いている(前者がラブラドア市、後者がサリスバリー市)。

 

 

 

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