合併後のマースク―シーランドは表3-3に示すように、250隻のコンテナ船、50万個のコンテナ、24の港湾設備を有する大コンテナ海運会社となった。マースク―シーランドが運営する24の港湾設備のうち13は米国の港湾ターミナルである。
東海岸におけるハブ港はニューヨーク/ニュージャージー港の一部であるポート・エリザベスであり、海岸のハブ港はロングビーチである。両社の合併により多くの港湾ターミナル、コンテナ船、社員に余剰が発生した。東海岸ハブ港のポート・エリザベスでも、存続を願うニュージャージー政府当局者の懸念にもかかわらず、結果的にポート・エリザベスのマースクのターミナルが閉鎖されシーランドのターミナルが存続することとなり、多くの人々が人員整理の対象となった。
アメリカン・プレジデント・ラインズ(APL)
American President Lines (APL)はカリフォルニア州オークランドを拠点とし150年の歴史を持つ太平洋航路ライナー会社として世界屈指の名門会社であると共に北米の鉄道コンテナ輸送事業も手広く手掛けていた。合併前のAPLは27隻、196,200TEUのコンテナ船を運航していた。1997年11月シンガポールのネプチューン・オリエント・ライン(Neptune Orient Lines: NOL)が8億2500万ドルでAPLを買収し、113隻、年収40億ドルの大ライナー会社となった。合併後のNOLの113隻のうちコンテナ船は46隻である。2
NOLは欧州―極東航路、大西洋経由の極東―北米航路に強く、APLは太平洋航路に強かったので、両社の合併は真にグローバリゼーションの達成となっている。APLのRhein社長は合併後新会社の役員となっている。また、MSP及びVISA契約下にある9隻のAPL船は米国籍、米国人配乗要件を満たすため米国の銀行の管理下に移され、旧APL社員が運営するアメリカン・シップ・マネージメント社がチャーターすることとなった。
合併後のAPLの位置づけはNOLのコンテナ輸送及びロジスティクス部門ということであるが、従来ドア・ツー・ドアのサービスのための全ての部門を所有する方針を改め、必要に応じてチャーターする方針に変更した。1999年3月NOLは従来APLが所有していた北米スタック・トレイン事業を3億1,500万ドルでニューヨーク・ベースのアポロ・マネージメント社に売却すると発表した。
2 合併後の会社はAPLのブランド名で運営されている。