表2-4に示すように、ロングビーチ、ロサンゼルスは西海岸の大部分の貨物を取り扱っている。
ロングビーチはTEU数においても、金額においても全米第一であり、1997年270万TEU、金額にして850億ドルのコンテナ貨物を取り扱っている。東海岸で一番大きいのはニューヨーク/ニュージャージー港で取扱量は170万TEU、金額は680億ドルとなっている。トン数で多いのはメキシコ湾岸のヒューストン港及び南ルイジアナ港であるが、理由はこれらの港でドライバルク、個品雑貨(プラント等)、原油等の輸出入が行われているからである。
米国は1994年初めて石油の輸入量が国内生産量を上回り、石油の純輸入国となった。海外からの米国向け石油輸送はメジャーオイルの自社船、サウジアラビア、クウェート、ベネズエラ等の国営石油会社船、或いは独立船主の船によっているが、石油会社の持船によるものは徐々に減っている。
ただし石油会社により方針が異なりテキサコ、シェル、トータルは自社船50%以上のカット、コノコ、シェブロンは自社船維持の方針である。エクソンと合併したモービルは自社船維持の会社であったが、合併を機にエクソンの方針に合わせ自社船廃止となった。いずれにせよこれらの影響を受け独立船主の輸送量が圧倒的に増え、1998年に全世界のタンカーは3,500回米国の港で荷揚げしたが、そのうち78%は独立船主の船によるものであった。
表2-5は1988-1997年の10年間の船舶による米国の輸出入実績の変化を輸送量(トン数)、及び輸送貨物価格(10億ドル)で示したものである。これらの数値には五大湖船によるカナダとの輸出入及び政府貨物の輸送量も含まれているが、国防総省(Department of Defense: DOD)貨物や純軍事品の輸送量は除かれている。また、ハブ港においてフィーダー船に搭載される一時滞留貨物も除かれている。
表2-5によれば1997年船舶による米国の国際貿易量は11億トンに達し、1996年より4.6%増加している。そのうち米国商船隊による輸送量は2,930万トンと2.7%を占めるに過ぎない。
米国全体の貨物量は1988年の8億3,100万トンから1997年の11億トンと28%増加しているが、米国商船隊による輸送量は逆に3,320万トンから2,930万トンヘと12%減少している。
1988-1997年の10年間に米国全体の貿易量が一番伸びたのはタンカー(53%増)、次がライナー(43%増)であり、不定期貨物船(石油を除くバラ積貨物、個品雑貨等)の伸びは3億9,930万トンから4億1,400万トンの4%増に過ぎない。