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このため、外国海運会社による米国四大海運会社の集約に際しても、助成が途切れることのないよう措置されており、米国政府も「米国の海運会社」であることを監視している。

以上のように、米国海運会社の集約化は、米国独特の海運政策もあって、一般の企業集約とは一味違ったものとなっている。また、米国の海運会社が外国海運会社に集約されたとはいえ、米国を中心とした海上荷動き量は膨大なものがあり、世界の海運で重要な地位を占めているのは間違いない。従来から、米国は、荷主の権利を擁護し、海運同盟の一定の活動を制限してきたが、海運集約に伴い、従来の政策も変更される可能性がある。さらに、最近では、集約化された海運業界に対抗する観点もあるのか、集荷業者や荷主の組織化等も進んでいる。これらは、米国海運業界のみならず、世界の海運業界に影響を与えうることから、この調査では、海運集約に伴う海運政策の変化や周辺業界の対応についても簡単に触れている。

この報告書が米国海運政策と海運業界の実態はもちろん、米国の一般海事情勢理解の参考となれば幸いである。

 

ジェトロ・ニューヨーク・センター

(社)日本中型造船工業会共同事務所

Director 市川吉郎

Assistant Researcher 氏家純子

 

 

 

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