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III Rolls-Royce (Vickers Ulstein Marine Systems)

1. 合併・買収の背景

1.1 グループの戦略

VickersによるUlsteinの買収は、Vickersにとって同社の推進機器の製品範囲を拡大し、同社を推進システムと位置制御システムを提供する世界的リーダーとした。

Rolls-Royceは伝統的に軍艦や調査船等高付加価値の複雑な船舶を供給してきたが、それらの船舶においてはシステムアプローチのニーズが増大している。Rolls-Royceは、Vickersを舶用の各分野における世界的リーダーととらえており、その強さからVickersを買収しようとした。

Rolls-Royceの立場から見ると、Vickers買収の提案は、成長産業である航空、舶用及びエネルギー市場においてリーディング・ポジションを追求してきた同社の戦略に沿ったものである。舶用市場において、Rolls-RoyceとVickersの製品の組み合わせは、舶用分野における変化するニーズに適合する方策を追求するうえで、また、将来のビジネスチャンスを高めるうえで有利であるように思われる。

海軍市場及び商船市場に総合パワーシステムを提供できるRolls-Royceの能力は大きな事業機会を作り出すものと思われる。この拡大された能力は、統合推進システムの設計・供給に対する顧客の需要が増大している舶用市場のニーズにマッチするものである。Rolls-Royceの拡大された舶用市場における能力には、プロジェクト管理、舶用機器・システムの設計・統合、舶用機器の購買・供給、据え付け、作動確認、プラットフォーム支援等がある。

 

1.2 合併前のVickers Ulstein Marine SystemsとRolls-Royceの活動

1.2.1 Vickers Ulstein Marine Systems

Vickers Ulstein Marine Systems(以下、「VUMS」という。)は4つの部門に分かれ、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、米国及び英国に主要な製造工場を有していたほか、ポーランド、カナダ、韓国にも製造施設を有していた。VUMSの4つの部門の活動は以下のとおり。

 

(1) Propulsion

本部門はVUMSの中の最大の部門であり、10社が属していた。本部門は、ウォーター・ジェット、固定・可変ピッチプロペラ、スラスター及び電動機収納推進装置(propulsion pods)に焦点を当てた推進装置及び推進システムの開発、組み立て及び保守整備を実施していた。

 

 

 

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