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Hamworthy KSEは、その成功は、堅実な会計と契約管理戦略を背景とした精力的なコマーシャル・アプローチと製品革新に基づくものであると言っている。

同社は、次第に、製品製造を下請けに出し、設計、購買及び顧客関係の管理に焦点を当てるようになってきている。例えば、ハッチカバーに関して、Hamworthy KSEは全ての設計を行い、油圧、電気、電子制御等について責任を持つが、製造については下請けに出している。同社は、欧州ではハッチカバーを製造するためのスチールを自ら購買するが、極東ではこれを実施せず、極東の顧客に購買させている。

同社は、サービスネットワークの運営についてもある変更を実施したようであるが、詳細を明らかにすることを拒否した。大まかに言えば、HamworthyとKSEは双方とも世界の多くの場所で販売及びサービス企業を運営していたことから、何らかの合理化は要求された。この合理化は買収の後12ヶ月以内に実施された。

Hamworthy KSEによれば、将来収入の四分の一以上が部品販売とサービスからもたらされると予測される。それゆえ、広範囲な製品領域を維持することは、収入増の可能性をもたらすこととなる。同社は、以前のHamworthyとKSEがそれぞれ単独では達成できなかった領域においても今やその存在を誇示できるようになった。

Hamworthy KSEは、現在、同社を英国の企業ではなく、多国籍企業(インターナショナル・カンパニー)として売り込んでおり、従業員の大半は英国人ではなく役員の半数も英国人以外であることを指摘している。トレード・フェアや展示会では、同社は英国やノルウェーの企業として見られることを避けるため、いかなる国の旗印の下でも展示しない方針を持っている。

Powell Duffrynは、実質的な投資能力を持っており、同社の事業に価値を付加する更なる買収を追求し続けることを明らかにしている。あり得る将来の買収に関して、同社の主な判断基準は、買収対象会社が製造能力の制約を持っているかどうか、強い研究開発のスキルを持っているかどうか、関連する技術製品を供給しているかどうか等である。更なる買収はあり得るが、同社はターゲット企業がしばしば高値をつけすぎていることに注意している。

 

4. 論評

Powell Duffrynによる事業の見直しの決定は、Hamworthy KSEに大きな利益をもたらし、今後ももたらし続けるように見受けられる。事業の売却は、同社に他の企業に投資する現金の蓄えをもたらし、同社は活発に買収の機会を追求してきた。しかし、そのアプローチは注意深く、既存の事業に適合しない事業や既存の事業に価値を付加しない事業あるいは高価すぎる事業については購入しないよう考慮された。

KSEの買収は、Powell Duffryn/Hamworthyの判断基準を全て満足し、以前の競合相手の技術的強さ、地域的強さ及び事業分野の強さから明らかに利益を得ることの出来る新会社を設立した。

 

 

 

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