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・コンテナ船建造市場への本格的進出。これは80年代末にはポーランド造船業が漸く参入したばかりの部門だった、90年代末頃にはグディニア造船所、シチェチン造船所とも、コンテナ船建造では世界でも有数の造船所と肩を並べるに至った。この地位を獲得した一因は、特にドイツ船主からの900−3,000TEU型コンテナ船の大量受注にある。

・非常に高い価格競争力。この点は近年の特定の受注案件が実証している。その一部は極東の造船所と競合して獲得したものである。具体的な例を挙げると、97年8月にLeif Hoeghから得た6,200台積載の自動車専用船の受注である。14 同様にシチェチン造船所が97年1月に受注した4隻の6,000DWT型ケミカル・タンカーの連続建造は、ノルウェーやスペインの造船所との競合に勝って獲得したものである。

・個々の顧客の特定のニーズにきめこまかく応えられるポーランド造船業の能力。例えば南アフリカとオーストラリアの船主から受注したプロダクト/ケミカル・タンカーやチリの船主から受注したコンテナ船がその現われである。ポーランド建造のコンテナ船は多数が荷役装置を備えていて、それによる荷役能力の高度の自給性が適合航路の幅を広げている。

 

これらの前進の目覚しさは、93年以降のシチェチン造船所、97年以降のグディニア造船所の黒字経営が裏書きしている。

 

ポーランド造船業の今後を決定するのは、以下のような要因である。

 

・個別企業がアジアの大造船会社と競合し得るように建造量と市場シェアを達成する必要性。ポーランド造船業が国外で新造設備を取得すれば、これはある程度まで可能になる。

・新たな地域市場におけるポーランド造船業の浸透度をどこまで維持できるか。長期的に新たな機会を提供するに違いない市場の一つは、経済回復が達成された後の旧ソ連である。

 

14 同船主向けにすでに同種の船舶1隻が大宇で建造中で、姉妹船1隻のオプション付契約だったが、船主はオプションを行使せずに後続船をグディニア造船所に発注した。

 

 

 

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