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98年2月、同社は国内銀行が保有していた39.1%の持分を買い取り、その大部分について従業員の買取りを募った。同月、ポーランド政府が同社の株式の13%を、グディニア造船所の従業員に無償で提供し、残り33.7%の持分を政府の支配下にとどめた。その後、今日まで持株状況の変化はない。

 

グダンスク造船所:

95年1月に成立した合意により、グダンスク造船所の債務のうち40%は免除された。小口債権者(債権20,000ズローティ未満の者)は協定発行後1ヵ月以内に残債の返済を受けられることになった。大口債権者に対する返済は20回の定額分割払いとなり、第1回は96年3月が期限とされた。しかしこの条件でもグダンスク造船所の赤字には歯止めが掛からなかった。96年6月の破産申立てに至るまでに、債務総額は4億1,400万ズローティ(1億5,100万米ドル)に達したと報じられ、それに対して資産はわずか3億5,000万ズローティに過ぎなかった。そのため結局グディニア造船所に買い取られることになり、現在では同社の一部となっている。

 

新造船を行うこれら3大造船所以外にも、ポーランドの様々な修繕船施設の民営化が予想されている。ただし具体的なタイムテーブルはまだ設定されていない。早期に民営化が見込まれる候補の中に、グダンスク修繕ヤード(Gdanska Stocznia Remontowa)がある。逆に、Morska修繕ヤードの民営化が先送りされる兆しが最近見られるが、それについては何ら理由が示されていない。

 

4.2 今後の展望

1993−97年の時期のポーランド政府は、民営化のプロセスを継続する一方、各造船所にとって最善の進路は、世界市場における競争力を強化するようなスケール・メリットを期待できる、単一グループへの集中であると考えていた。しかし現在の政権はこの戦略を放棄し、むしろ今後の発展計画の策定を個々の造船所に委ねている。シチェチン造船所の場合、各種の部門における専門企業を多数買収することによる多角化の形態を取っているが、グディニア造船所は依然として造船だけに集中する戦略を採用している。

 

 

 

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