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その上でシチェチン造船所は従業員に対して1ズローティという名目的対価で売却され、従業員は同社の株式の30%を保有することになった。残余の株式は国内銀行(30%)、造船所の経営陣(9%)、造船所と協力関係にある企業グループ(15%)、ポーランド政府(10%)に配分され、さらに残る6%は後日売却するために保留された。株主は少なくとも6年間、保有株式の売却を禁止された。

96年6月、新株発行により同社の資本金は1,750万ズローティ(約640万米ドル)増加した。既存の株主は新株引受けを一切認められず、Porta Petrol S.A. (シチェチン社の子会社)が全新株を引き受けた。99年央現在、ポーランド国庫の持分は10%と変化していないが、国内銀行の持分は12.6%に縮小した。残余の株式は個人投資家(31.1%)、Grupa Przemystowa (25.3%)とPorta Petrol (21.1%)が保有している。

 

グディニア造船所:

グディニア造船所の債務返済繰延べに関する協定は93年12月に成立した。この取決めにより、大口債権者(主として銀行と資機材サプライアー)はそれぞれの債権の50%を放棄した。25%は直接返済され、さらに残りの25%は株式に転換された。

この構造改善措置により、政府は同社の株式の35%を保有することになった。ただし95年12月の債務株式転換により、未払社会保険料2,580万ズローティは納付を免除され、政府の持分は46.7%に増加した。次いで政府の持分を買い取ってくれる、戦略のかなめとなる投資家探しが開始された。ポーランド当局にとって望ましい候補はシチェチン造船所だった。しかしグディニア造船所の経営陣から強い抵抗があって、この計画は放棄され、その代わりとなる適当な外国投資家は見つからなかった。

やがて、97年9月の新政権の選出と造船所自体の採算回復とがあって、このような外国投資家を見出そうという案は撤回された。

 

 

 

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