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貨物油タンクの数が多く、容量も大きい(51-55,000m3)。14基のタンクに精製石油製品、他の4または6基のタンクにIMO第II種/第III種化学製品を積載する設計で、きわめて多用途に利用できる。

・40,000DWT型「マルチフレックス」ケミカル・タンカー:98年と99年にギリシャ船主から計8隻の受注を得た。いずれも34基の貨物タンクを備え、うち18基はステンレス製である。

・6,000DWT型フィーダー用ケミカル・タンカー:シンガポール系船主から受注した。いずれも14基のステンレス製タンクを備え、高密度、高温の貨物が積載可能である。受注は97年1月で、小型船市場にも選択的に復帰しようとする動きである。

 

以上から明らかなように、シチェチン造船所の建造船種は多様化しており、この傾向は1999年も維持されている。また、これ以外にも890TEU型コンテナ船、35,000DWT型撒積船、コンテナ積載可能の30,000GT型一般貨物船各1隻を引渡したが、いずれも同造船所としては初めて建造する船型である。(添付資料E参照)。

 

3.2 グディニア造船所

グディニア造船所では、それぞれ能力120,000DWT、400,000DWTの建造ドックで新造工事を行っている。1999年末現在、手持工事としてはコンテナ船、ミニバルカー、RO/RO船、その他多様な船種を抱えている。その他には多数の液体バルク貨物輸送用船舶が含まれている。客筋としてはドイツ系船種が圧倒的比重を占める。

90年代初期にはグディニア造船所はシチェチン造船所と同じような状況にあり、工事量はかなり豊富でありながら(その大半は冷蔵船)、破産に瀕していた。その経営難の原因は低船価受注と造船助成の撤廃にある。12結局93年末近くにポーランド政府との合意が成立し、第4節にさらに詳しく述べるように、同造船所は債務の一部免除が認められた。

この合意の後も、90年代半ばのグディニア造船所は、引き続き赤字経営を続けたが、97年には純利益を上げ、98年には業績をさらに向上させた。

 

12 シチェチン造船所の場合と異なり、グディニア造船所は、ポーランドが共産党政権の支配下にあった当時でも、非東欧圏からの受注の比重が大きかった。1960年代以来、その建造量のうち旧東欧圏外諸国の船主向けが大半を占めていた。この要因は後年の復活の過程で物を言った。

 

 

 

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