90年代半ばには、シチェチン造船所は900-1,900TEU型コンテナ船の建造で世界第1位の座を占めるに至った。これはシリーズ建造と、生産性の大幅向上により、1隻当り建造期間を5ヶ月前後に短縮したことによる成果である。ドイツ市場の直近に位置していることもシチェチン造船所の躍進の一因であり、さらにKG金融による発注ブームも加わった。
Odra Nowa船台が稼動を開始して以降、シチェチン造船所は3,100TEU型までのコンテナ船、オープン・ハッチ式ハンディマックス型撒積船、45,000DWT型タンカーなどを受注した。90年代初めにタンカーの二重船殻化規則が導入されたこと、それにより体寸法が拡大されたことによって、旧設備で建造可能なタンカーの最大船型は33,500DWT前後ということになった。96年に引き渡されたプロダクト/ケミカル・タンカー "Engen Rainbow"が92年以降シチェチン造船所で竣工した最初のタンカーとなった。このようにタンカー建造を再開したことは、同造船所のコンテナ船依存緩和にも役立った。コンテナ船の建造船価がポーランドと韓国では大きく開いてきたので、今後コンテナ船受注が難しくなる可能性がある。
90年代末期になると、シチェチン造船所は持株グループに変貌し、海事産業部門以外にも様々な事業部門を傘下に収めることになった。主な傘下企業は以下のとおりである。
Stocznia Porta-Odra造船所 74.99%
ZREMB-Gorzow(鉄鋼構造物メーカー) 60.74%
Towimor(クレーン、ウィンチのメーカー) 53.05%
Nord(舶用電子機器のサプライアー) 51.01%
Zaklady Mechanizmow Okretowych Fama11 50.80%
Stocznia Ustka造船所 50.09%
しかしながら、同グループの1998年度年次報告書によると、造船が依然として中核事業であり、売上げ中最大シェアを占めている。同社の建造量は(CGTベースで)2年連続してヨーロッパの他のどの造船所よりも大きいものとなっている。
11 舶用機器メーカー。