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3. 各造船所の概況

 

ポーランドの造船設備一覧を添付資料Cに掲げる。また、ポーランドの各造船所の新造船受注と竣工実績をそれぞれ添付資料D、Eに示す。既述したように、ポーランドにおける新造船活動は3大造船所を中心に行われている。以下に各造船所の概況を示す。

 

3.1 シチェチン造船所

1990年初期には、シチェチン造船所は船台6基で船舶を建造していたが、利用できるクレーン能力は限られていた。シチェチン造船所の経営陣はこの問題に対処するために、90年代半ばに造船所の再開発を実施し、その一環として既存の船台2基を閉鎖、他2基を合体した。その結果9、95年に "Odra Nowa" という設備が完成し、同造船所は現在50,000DWTまでの船舶が建造可能となっている。幅がパナマックスまでの(長さはパナマックスに満たないが)船舶が建造可能になり、同造船所の建造可能船型の範囲が広がった。

シチェチン造船所は現在、新造船に船台3基を使用し、うち2基は33,500DWTまで、他の1基は50,000DWTまでの船舶が建造可能である。現在の手持工事には、コンテナ船、オープン・ハッチ式撒積船、ケミカル・タンカー、RO/RO船などがある。発注者は、主としてドイツとギリシャの船主である。

90年代初めには、シチェチン造船所の手持工事量は非常に多く、その船種別内容もコンテナ船、プロダクト・タンカー、ミニバルカー、RO/RO船、貨客船など多岐にわたっていた。それにもかかわらず、同造船所は深刻な資金問題を抱えていた。多数の工事をきわめて低い船価で受注していたためである。91年には事実上破産状態に陥ったが、同年ポーランド政府との間で債務返済繰り延べの合意が成立し、93年には黒字を回復し、採算ベースに乗るように生産活動の見直しが行われた10。その後、南米など新規市場への浸透が著しい進展を示し、シチェチン造船所はその後6年間、すなわち93年から98年まで利益を計上することができるようになった。具体的数値を添付資料Iに示す。(1999年の数値はまだ公表されていない。)

 

9 投資額は6,900万米ドルといわれ、完成に5年の歳月を要した。

10 ポーランド政府との合意により、1億5,000万ズローティといわれるシチェチン造船所の債務の33%が免除され、残額は5年間に四半期毎の分割で返済することになった。

 

 

 

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