新造船ヤード:
ポーランド造船業では、現在3大新造ヤード、すなわちシチェチン造船所、グディニア造船所、グダンスク造船所が主力を占めている。このうち近年ではシチェチン造船所が最も活発で、年間建造量は18−20隻に及ぶ。現在は中小型のコンテナ船、オープン・ハッチ式ハンディマックス型撒積船、50,000DWT以下のプロダクト・タンカーやケミカル・タンカーに特化している。これに対してグディニア造船所の年間建造量は10隻程度(主としてコンテナ船、ただし若干のケミカル・タンカー、RO/RO船も含まれる)である。グダンスク造船所の年間竣工量は通常2隻程度に過ぎないが、現在ではコンテナ船も建造し、冷蔵船とハンディマックス型撒積船に多角化する計画も進めている。
中小造船所もいくつかあるが、外航貨物船を相当数建造しているヤードはわずかに過ぎない。うち、主なものを以下に挙げる。
・グダンスクのStocznia Polnocna(Northern Shipyardとも呼ばれている)、1990年代以前は艦艇の工事が主体だった
・民有のCenal Shipyard、所在地は同じくグダンスク
・シチェチン造船所が一部の持分を保有する子会社2社(Stocznia UstkaとStocznia Porta-Odra)
・旧海軍工廠Stocznia Marynarki Wojennej、現在は商船を建造
・Stocznia Tczew
・Stocznia Wroclawski
これら中小造船所の大半は漁船やタグ等の船種の建造に従事している。例外は、海・河川用船艇を建造するStocznia Porta-Odraと、救命艇を建造するStocznia Ustkaである。
なお、ポーランドの修繕ヤードの中には若干の新造工事を行うところも数カ所ある。この中で最も重要なものはGdanska Stocznia Remontowa(ヨーロッパ第2位の修繕船工場)で、改造船工事も手広く行っている。その他新造も行う修繕ヤードとしてはGryfia Stocznia RemontowaとParnica Stocania Remontowa(いずれも所在地はSzcecin)、さらにグディニアのStocznia Remontowa Nauta等がある。