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30. ポーランドは高度経済成長を志向し、また、2002年末を目標とするEU加盟に熱意を燃やしている。これが実現すれば国は豊かになり給与水準が上昇するが、それはポーランドの各造船所が今なお一部の海外造船所に対して保持しているコスト面での優位が崩れることを意味する。したがって慎重な原価管理が将来における同国造船所の命運を決めることになる。

 

将来展望

 

ポーランド造船業の未来は以下の要因にかかっている。

1. 国内造船所がアジアの大手造船所と競合して、どこまで建造量と市場シェアを確保できるか。ポーランド国外に能力拡大の機会を求めれば、これを達成できるかもしれない。

2. 未進出地域の市場に引き続き浸透を図り、現在進められている建造船種の多様化を一層推進すること。グディニア造船所における超パナマックス型コンテナ船の建造もその一例といえる。

3. グダンスク造船所ではすでに進行中であるが、ポーランド国内の造船設備の再整備をさらに進めること。ただしポーランドが目標としているように2002年末までのEU加盟が実現すれば、ポーランドの政府助成如何によっては、各造船所の年間建造量に上限が課せられるかもしれない。(EUでは、規定内の政府助成を認める代わりに、助成を受ける造船所に建造量の上限を課している。)そうなれば高付加価値船種に特化しようとする意欲が一層刺激されることになろう。

 

 

 

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