3.2 船舶輸送
カンボジアには、海外向けの貨物を取り扱う2つの主要国際港がある。プノンペン港とシアヌークビル港である。プノンペン港は、ベトナムのメコンデルタを経て南シナ海へ通じる河川港である。シアヌークビル港は、プノンペンの南西240キロメートルにあるタイ湾に面したカンボジア最大の外洋港であり、アジア・ハイウェーの南の起点でもある。
両港の主要取扱貨物を見ると、プノンペン港は、消費地、生産地に近いことから、石油類、木材、一般雑貨、農業製品、ゴム、麦等であるのに対し、シアヌークビル港は外海に面し大量輸送に対応できることから、コンテナ、木材、大型機械類、セメント、米、砂糖、肥料等となっている。外貿航路としては、両港ともシンガポールとの間の輸送が大部分を占め、特にシアヌークビル港の場合は、これに加えてタイ、オーストラリア、中国との貨物量が多い。最近の傾向としては、シアヌークビルとプノンペン間のアクセス道路(国道4号線:約240キロメートル)の整備により、輸送時間が短縮されるとともに一定の到着時間も見込めることになったことに加え、一般貨物のコンテナ化が進展したこともあり、プノンペン港からシアヌークビル港への貨物のシフトが見られる。
両港はそれぞれ公共事業運輸省傘下のプノンペン港湾局、シアヌークビル港湾局が管理・運営しているが、国の財政から独立した運営が行われている。
カンボジアの内陸水運を見ると、内水路の総延長は約1,800キロメートルで、このうち約3分の1は通年で利用できる。特に雨期には陸上交通に冠水等による被害が多くでることが通例で、道路の代替として重要な交通手段となっている。
(1) プノンペン港(内水港)
アジアハイウェーA1号線とA11号線の交差する場所に位置している。北部からの貨物をメコン川経由で海外向けに輸送する機能を持っている。
プノンペン港は、市の中央部にあり、トンレ・サップ川に面する2つのサイトからなっている。No.1 Portは、96年に日本の援助で修復されている。取り扱い能力は、年間56万6千トンである。No.2 Portは、ポンツーン形式で、世銀の融資により緊急に修復されたもので、主に国内貨物を取り扱っている。
その他、プノンペン市から4キロメートルおよび13キロメートル離れたトレン・サップ川沿いに石油ターミナルが2ヶ所ある。石油製品の多くはシンガポールからの輸入であり、600〜1,000DWT型の船舶によりベトナム経由メコン川沿いに輸送されてくる。
(2) シアヌークビル港
シアヌークビル港は、主要な大水深港で、カンボジアの経済活動を支える役割を果たしている。また、同時にシアヌークビル地区はカンボジア経済の先導的産業が立地する地域でもある。最大のゲートウェーである。首都プノンペンから240キロメートル離れているが、カンボジア内陸部とは道路および鉄道で結ばれている。