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1999年3月末における従業員数は約6,000人、受注残高は6.56億ドルであった。

同グループはメキシコ湾岸で22の造船所を保有しており、このうち主力3造船所(モスポイント、ロックポート、ガルフポート)が同社の新造契約の約5割を占めている。14造船所はサテライト・ヤードとして機能し、残りの5造船所は修繕工事を担当している。

また、ABB(Asea Brown Boveri)グループ及びイタリア政府機関(イタリアのテンション・レグ・プラットフォーム建造ヤードであるBelleliの運営)、中国のYantai Raffles Shipyard(オフショアリグ、オフショア支援船等の建造)、アルゼンチンのSANYM(曳船(トウボート)の建造)等とそれぞれ海外合弁事業を行っている。

 

1996年にトリニテイ・インダストリーズからスピンオフして以来、ハルター・マリン・グループは、メキシコ湾岸全域に足場を築くために、湾岸沿いの造船施設等を次々に買収してきた。スピンオフ前には11の造船所を保有していたが、わずか1年余りの間に傘下の造船所は22になった。買収した施設のほとんどが小規模であり、かろうじて採算が取れる程度の造船所が多かったために、割安で買収することができた。同社の戦略では、エンジニアリングを一ヵ所に集約し、生産は空き具合と能力に応じて各施設に回す予定であった。

しかしながら、いくつかの大型プロジェクトで大幅なコスト超過が発生したために、大幅な損失を計上したことに加えて、一連の買収により1999年3月末には2億4,000万ドルの長期負債を抱え、その確定利子の支払いが追い討ちをかけたこともあり、ハルター・マリン・グループの収益状況は大幅に悪化した。さらに、アジアの経済危機や世界的な生産過剰により1997年秋以降に石油のスポット価格が急落してオフショア市場が崩壊したために、1998年6月末には9億8,800万ドルあった手持工事量が1年後には5億3,500万ドルにまで急減した。また、工事中のいくつかのプロジェクトにおいては、発注主が財政難に陥ったために引き渡しが困難になることが懸念された。

これらの要因が重なり、ハルター・マリン・グループの株価は、1996年9月に株式が公開された時点で9ドルであったのが1年後には40ドルに高騰していていたにもかかわらず、1999年初めには4ドルにまで暴落した。

 

 

 

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