このような買収例としては、1996年におけるTeledyene Vehicle Systemsの買収、1997年におけるロッキード・マーティン社からのArmament Systems及びDefense Systems買収、Lucent Technologies社からのAdvanced Technology Systems買収、Ceridian CorporationからのComputing Devices社買収等が含まれている。
ジェネラル・ダイナミクスは1995年9月にバス・アイアン・ワークス(BIW)(メイン州バス)を3億ドルで買収し、水上戦闘艦の建造事業についても足場を築いたが、これも一連の買収のひとつである。
バス・アイアン・ワークスは1833年に鋳物工場として創立され、1888年のニュー・イングランド造船設立以降、船舶建造事業を開始した。同造船所は1970年代まではコンテナ船、RORO船、プロダクトタンカー等の商船の建造もてがけていたが、1980年代以降は海軍水上戦闘艦の建造に専念している。ジェネラル・ダイナミクスに買収される前のバス・アイアン・ワークスは財政基盤が脆弱であり、1986年に同社を5億8,000万ドルで買収したプルーデンシャル保険が進めたリストラによりかろうじて支払能力を保っていた状態であった。しかしながら、ジェネラル・ダイナミクスの買収により同社の財政基盤は非常に健全なものになり、水上戦闘艦の建造基盤の維持を望む海軍関係者からは大いに歓迎された。
ジェネラル・ダイナミクスによるバス・アイアン・ワークス買収の狙いは、ニューポート・ニューズ造船との潜水艦建造受注競争を有利に導くとともに、海軍艦艇市場におけるメイン・サプライヤーとしての地位を確保することにあったと見られている。米国において潜水艦を建造できるのはこの両社のみであるが、ニューポート・ニューズ造船が空母や水上戦闘艦の建造能力を有するのに対して、ジェネラル・ダイナミクスはこのような能力を有さない。バス・アイアン・ワークスの獲得によってジェネラル・ダイナミクスは、空母を除き、ニューポート・ニューズ造船とほぼ同等の艦艇建造能力を備えたことになる。また、売上高、従業員数においてニューポート・ニューズ造船を抜き、業界最大手の地位を確保した。