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2 米国造船産業におけるM&A活動

 

米国の船舶造修産業部門においても、ここ数年間にわたり活発なM&A活動が行われてきた。特に1998年前半から約1年間におけるM&A活動は極めて顕著であり、その結果として上位5社の売上げが全産業の9割以上を占めるまで集約化が進んだ。このように急速に進んだ米国造船産業の集約化の背景には、第1章で述べた一般的な要因に加え、米国造船産業のベースロードとなる海軍艦艇工事量の減少と、オフショア部門の活況が大きな動因となったものと考えられる。以下にその詳細を記することとする。

 

2-1 米国造船業の事業基盤

 

米国造船業は主として、1]米国海軍艦艇の建造と修繕、2]オフショア施設の建造と改造、3]国内市場向けの商船・官公庁船の建造、という3つの事業基盤に依存している。各造船所は、多少の重複はあるにせよ、このうちのひとつの分野を専ら手掛けているのが特徴である。

 

(1) 海軍艦艇市場

いわゆる「6大造船所」〜エレクトリック・ボート(コネチカット州グロトン)、バス・アイアン・ワークス(BIW)(メイン州バス)、NASSCO(カリフォルニア州サンディエゴ)、ニューポート・ニューズ造船(NNS)(バージニア州ニューポートニューズ)、インガルス造船(ミシシッピ州パスカグーラ)、アボンデール・インダストリーズ(ルイジアナ州ニューオーリンズ)〜は艦艇建造造船所であり、艦艇修繕能力も有する。

これに加えて、建造能力は限られているものの、艦艇の入渠工事及び修繕を専門とする造船所が約10程度存在している。東海岸のNORSHIPCO(バージニア州ノーフォーク)、メトロ・マシーン(同)、Colonna's(同)、Detyens(サウスカロライナ州ノースチャルストン、フロリダ州ジャクソンビル)、西海岸のカスケード・ジェネラル(オレゴン州ポートランド)、トッド・パシフィック(ワシントン州シアトル)、サウスウエスト・マリン(カリフォルニア州サンディエゴ、サンペドロ、テキサス州チャンネルビュー)等がこれに含まれる。

 

 

 

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