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従って、このような遅れは内的遅延であると同時に、調達においては外的遅延として分類される。情報技術が効果的に活用されれば、業者選定にかかる時間が削減されるものと思われる。

もう一つの外的遅延とは、原産地(生産地)から目的地(造船所)に到達するまでの輸送過程に起因するものである。輸入の場合、信用状開設(経済危機の際には海外、特に国際貿易の拠点であるシンガポールで発行されている)や、通関、船積み及び陸揚げが遅れの要因となる。

調達にかかる全体的な遅延の長さは、資材や部品、組立て品の種類、そして調達国によって異なる。現在のところ国内サポート産業より調達できるものは、未だに溶接棒やペイント、酸素ガス、研磨剤などの消耗品や、木製品や手動工具、断熱材、パッキング、ガスケット、充填材などの技術レベルの低い製品に限られている。

国内での調達には概して5週間から12週間を要する。一方、高性能エンジンやタービン、精巧な通信・航海機器といったハイテク製品は海外から調達を行い、生産国によっても異なるが、およそ10週間から20週間を要する。ヨーロッパ諸国からの輸入に最も時間がかかり、次が日本、東アジア諸国、そしてアセアン(東南アジア諸国連合)諸国といった順である(Diawati & Cakravastia,1998参照)。

 

3.2 調達パターン

インドネシア造船所による調達の一般的なパターンは、資材の流れという点で(1)地場調達、(2)国内調達、(3)域内調達、(4)国際調達に分類される。

原産国という観点によるインドネシア造船所による調達パターンは、以下の4つに分けることができる。

 

3.2.1 地場調達

資材が地場(50キロメートル以内、あるいは輸送時間が60分以内)で供給あるいは調達される場合をいう(Smith 1999より引用)。インドネシアにおける産業の分布を考慮すると、造船所にとって地場調達が可能なのは、企業の80%が凝縮している(CBS、1999)ジャワ島のみである。地場における調達の形態としては直接物流及び間接物流の2つが考えられる。すなわち、直接物流は通常オーダーメード品に、間接物流は在庫として蓄えられる製品に適用される。

 

 

 

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