第2章 インドネシア造船関連産業の現状
群島国家であるインドネシアは海上輸送に対する需要が高く、造船業に魅力的な市場を提供している。この挑戦に見合うようインドネシア政府はカラカジャヤ計画を1983年に導入した。この計画には以下のような多岐に渡る目標が含まれている。
a. 国内島しょ間輸送の需要を満たすため、3,500DWTの貨物船56隻の建造
b. 高品質船舶を建造する能力を持つ造船所の開発
c. 造船関連産業の開発
この計画は基本的には財政的な理由で当初計画された通りに進まなかった。計画導入から14年経過した1997年中旬の経済危機勃発時点で、まだ15隻の船舶が建造されていなかった。造船所で継続的に船舶を建造する過程は造船所のみならず、この計画に携わる国内製造メーカーや資材、機器納入業者にも困難を引き起こした。
船舶を建造している造船所が財政的に何ら恩恵を被ることがなかったとしても、造船業全体ではインドネシアの造船品質基準を満たし、5,000DWTまでの船舶を建造する能力のある造船所6ヶ所を追加で獲得した。計画導入前にはわずか3ヶ所の造船所でのみ建造可能であった。
しかし、造船関連産業においてはこのケースはあてはまらない。不確定な長期に及ぶ期間で船舶を継続的に建造する過程は造船関連産業を飛躍させる要因とはならず、産業発展に必要となる重要な製造活動が企業により着手されることはなかった。
「舶用部品及び機器の製造」(ISIC38413)に分類される製造業者は中小規模の8社に限定されている(中央統計局1997年度資料)。IPERINDOの副会員として登録されている造船関連産業における会社数は17社である。しかし、造船所から収集した情報では、船舶建造のために物資やサービスを造船所に提供している会社は65社に及んでいる。
本報告書では、造船所が船舶建造のために重要な品目をかつて製造したことがある会社を30社選定して調査を実施した。それらの会社から収集した情報はインドネシア造船関連産業の実態を十分に反映しているものと思われる。
2.1 製造活動
造船関連産業は資本財及び中間財の製造、船舶建造に要求されるサービスを提供する会社から構成されている。インドネシアにおける造船関連産業の構造は依然発展の初期段階にある。産業の上流及び下流部門の成長を維持するための完成された構造を依然保有していない。