2000年に向けて、ほとんどの造船所は新造需要がほぼ皆無へと減少したため、修繕・補修事業へと主要活動を転換した。一部の造船所(JMI Shipyard及びPAL Shipyard)のみ2002年までの新造受注残を残している。
2000年が始まった時点で、インドネシアはカラカジャヤ国内船隊計画に基づいて、4,100DWTのセミコンテナ船(208TEU)15隻を建造する注文を持っていた。建造される船舶の機械、機器類のすべては既に造船所に納入されていた。船舶オーナーとなる国営海運会社PT. Jakarta Lloydとの交渉は、国内経済危機の結果上昇した労働賃金と資材調達価格のために(約200%の価格上昇)未だ結論に達していない。政府が何らかの解決策を見い出した場合、9ヶ所の造船所は2003年初旬まで新造船建造の活動を継続することができる。その他、国営石油会社プルタミナからの潜在的新造需要もある。経済危機のため、同社がこれまで実施してきたオイルタンカーのスクラップ・アンド・ビルト計画も頓挫した状態となっている。もし計画が再開されると2005年まで年間約10隻のタンカーの建造が必要となる。
インドネシアには現在、約230社の造船所が通産省に登録されている。大半は小規模修繕ヤードで、インドネシア群島の多くの島に所在している。約15ヶ所の造船所が「大規模」造船所として分類され、1,000トン以上の新造船建造の能力を持っている。現在、新造船建造の最大容量は5万トンで、最大修繕ドック容量は3万トンである。
造船業全体の新造船建造容量は年間約20万DWT、年間修繕ドック容量は約300万トンと推定されている。現在に至るまでの年間新造船建造実績は2〜6万トンで、これまで建造した最大の船舶は42,000DWTのバルクキャリア(1999年)であった。
カラカジャヤ国内船隊近代化計画(3,000DWT、3,600DWT、4,100DWTの一般貨物・セミコンテナ船)、国営石油会社プルタミナのスクラップ&ビルト計画(1,500DWT、3,500DWT、6,500DWTのオイルタンカー)、島しょ間貨客フェリー新造計画(150GT、300GT、600GT)、Seacommのタグボート建造計画(800馬力、1,200馬力、2,400馬力、3,600馬力)など船舶の標準化計画を含み、過去30年間で多くの船舶を建造した経験を生かし、インドネシアの造船所は特に1万トン級までの船舶建造について経営管理と技術プロセスをマスターしてきた。
造船所の設計、エンジニアリング、資材調達部門では依然として弱点がある。資材調達はエンジニアリングや財務部門と密接な関係があるが、船舶の資材、機械、機器の50%以上は依然として外国から輸入されている。その結果、インドネシア造船所の納期は国際的に受容されている標準よりも長期に及んでいる。