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また、購買先に関しては、4社ともISO9002を包含するISMA Code又はISO9002の資格を取得しているので、調達業者の評価、選定を行うとともに、これらの業者の品質記録を作成し維持している。選定・評価基準については、必ずしも全て明確に聞き出すことはできなかったが、D社は1]ISO9000シリーズの資格取得、2]D社との過去の取引実績、3]会社の歴史の3つを、H社は1]サービス、2]response、3]delivery timeの3つをあげていた。

さらに、各社は、購買の迅速化、合理化のため、Eメールを含めた電子情報交換に積極的に取り組んでいる。特に、D社はIMPA (International Marine Purchasing Association)のETS (Electronic Trading Standard) formatに登録しており、近々このフォーマットの使用を予定している。

 

(3) 通信(情報交換)、文書管理

各社とも多数・多種類の船舶を管理していることから、多くの情報を管理する必要がある。このため、各社とも最近の情報技術(I.T. (Information Technology))の活用に積極的である。C社はコンピュータシステムの変更を1年後の完成を目指して実施中であり、A社とH社は安全管理マニュアル等の文書の電子化を実施中であった。また、A社は船舶、船主及び船舶管理会社を結びつけた総合情報管理システムAcomarit Integrated Management System(資料7参照)を導入している。

なお、サイプラスの2社によれば、Eメールやデータベースをはじめとする電子媒体の各船への導入は、財源の問題もあり、最終的には船主判断によるとのことであった。

 

(4) 舶用機器のアフターサービス並びに船舶管理会社と舶用機器供給者との情報交換

船舶管理会社が舶用機器メーカーにコンタクトするのは、英国の2社は部品購入時、不具合発生時のみである。サイプラスの2社は、これらに加え、主要なメーカーと定期的に意見交換を実施している。

船舶管理会社がメーカーから得たい情報としては、C社以外の3社は機器に関するトラブル情報を揚げている。メーカーから機器のトラブル情報が得られない現状について、船舶管理会社は不満を持っているようである。

機器のメンテナンス工事発注及び機器の部品調達に関しては、4社ともISO9002を包含するISMA Code又はISO9002の資格を取得しているので、工事発注業者や部品調達業者(ISO9002のsubcontractorsに該当)の評価、選定を行うとともに、これらの業者の品質記録を作成し維持している。業者の評価・選定基準については、英国の2社はかなり保守的である印象を受け、A社からは聞き出せなかったものの、販売実績、取引実績がかなり大きな比重を占めているように思われた。

 

 

 

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