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第4章 調査結果のまとめ

 

1. 調査対象とした会社

本調査では、欧州の代表的な船舶管理会社として英国のグラスゴーの2社とサイプラスのリマッソルの2社を取り上げた。これら4社は、いずれも100隻〜300隻の船舶を管理する大規模な船舶管理会社である。

伝統的な海運国である英国にあるDenholm Ship Management (Holding) Ltd.(以下、「D社」という。)は、百数十年の歴史を有する船会社グループ企業J. & J. Denholm Ltd.グループの100%子会社であり、Acomarit Group(以下、「A社」という。)は、設立30数年の比較的新しい会社であるが最近大きく発展している会社である。

一方、サイプラスは、同国に籍を置く船舶が隻数ベースで2,600隻、総トン数ベースで26百万GTを超え、世界第6位に位置している(1999年現在。Lloyd's List)便宜置籍国である。また、船舶管理会社もISMAメンバーだけでも5社あり、Cyprus Shipping Councilメンバーにより隻数ベースで約1,200隻、総トン数ベースで18百万GTの船舶が管理されている。最近、サイプラス籍船にはサブスタンダード船が多いという悪いイメージをぬぐい去るため、同政府は検査官の増員や船級協会の監督の強化を図り、イメージアップに努めているとのことである(Lloyd's List)。サイプラスのリマッソルにあるColumbia Shipmanagement Ltd.(以下、「C社」という。)は、設立後20数年の会社であるが、同社のMr. P. Curtis (Technical Director)はISMAの副会長を務めており、船舶管理会社のリーダー的存在になっている。Hanseatic Shipping Company Ltd.(以下、「H社」という。)は1972年に設立されているが、同社はサイプラスで最初に登録された船舶管理会社であり、当初からサイプラス経済界のリーダーでありパイオニアであった。

なお、今回取り上げた4社のうちD社、C社及びH社の3社はISMAメンバーであり、A社はISMAメンバーではなかった。

 

2. まとめ

今回取り上げた4社は、いずれも、船舶を運航するのはまさに「人」であることから、船員の管理及び教育・訓練にかなり力を入れている印象を受けた。これは他の船舶管理会社にも共通するものと思われる。

本調査の目的は、船舶管理の観点から舶用機器メーカーの目指すべき方向を検討することであるため、舶用機器メーカーに直接関係する船舶管理会社の保守整備及び購買、さらに今後の方向を検討するうえで重要と思われる通信・文書管理、アフターサービスに関する現状・意見及び日本の舶用機器メーカー等に対する印象・要望について、以下に調査結果を要約し、とりまとめる。

 

 

 

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