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第1章 はじめに

 

本調査の目的は、ISMコード(International Safety Management Code)の強制化を契機として、欧州の船舶管理会社を訪問調査することにより、海運業界において今後益々重要になると予想される船舶管理の観点から、今後の舶用機器のあり方、舶用機器メーカーの目指すべき方向性を検討することである。

舶用機器メーカーは、修理・部品供給・緊急時対応等の保守整備に関するアフターサービスを通じて、20〜30年の長期に亘って船舶の運航を支援する役割を担っており、今後の舶用機器のあり方や舶用機器メーカーのあり方について、保守整備の観点から検討することは非常に重要なことと思われる。

一方、ISMコードは、海上人命安全条約(SOLAS条約)により、1998年7月から旅客船、タンカー等の一部の船舶に強制化された。また、コンテナ船等その他の船舶についても2002年7月から強制化されることとなっている。ISMコードは、船舶の保守整備、運航管理、船員管理等を含む船舶管理全般を一定以上のレベルに維持させることにより、船舶安全の向上及び海洋環境の保全を図ろうとするものである。

ISMコードの導入により、1]船主や船舶管理会社のSafety Cultureの向上、2]保守整備に関する船上と陸上の責任・役割の明確化、3]保守整備のより一層のシステマティックな実施、等が図られるものと思われ、これらは船舶の保守整備の今後の方向性に何らかの影響を与えるものと予想される。

また、欧州は船舶管理の先進国であり、100隻〜300隻もの船舶を管理する船舶管理会社が存在しているが、これらの会社はISMコードの強制化や船主の競争力強化に伴う船舶管理業務のアウトソーシング等を背景として今後益々発展するものと予想される。

以上の状況を背景として、本調査では、欧州の代表的な船舶管理会社4社を訪問し、これらの会社の保守整備の考え方、舶用機器メーカーに対する考え方等を調査し、今後の舶用機器のあり方、舶用機器メーカーの目指すべき方向について検討を加えた。

 

 

 

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