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12. 機関低温排熱利用冷却システムの開発

 

研究開発名 機関低温廃熱利用冷却システムの開発

研究開発期間

開始 平成12年4月1日

完了 平成13年3月15日

研究開発実施者名 株式会社前川製作所

主任研究者 寒風澤敏和

研究開発費

事業費総額 24,391,994円

補助金額 16,900,000円

 

1. 研究開発の目的

 

これまでの省エネルギーという目的に加えて地球温暖化防止の観点から、低温排熱の有効利用技術への関心が高まっている。特に、マイクロガスタービンや燃料電池などの個別分散型エネルギーシステムの実用化にとって不可欠な排熱回収機器は、より一層の小型化・低コスト化に加えて、より低温の排熱への対応が求められている。船舶機関も同様に独立した個別分散型システムであり、これまで海水中や大気中に排出されてきた機関排熱を有効活用する技術開発は今後ますます重要なテーマとなることが予想される。

現在、実用化されている排熱駆動ヒートポンプには吸収式と吸着式の2種類があり、両者とも複数の媒体の化学反応熱を利用したケミカルヒートポンプである。今後の排熱回収機器に要求される機能という観点から、吸収式では低温排熱での作動に限界があり、吸着式では装置の小型化・低コスト化について課題を残している。

これに対してエジェクターヒートポンプは、作動媒体の持つ運動エネルギーを利用したジェットポンプの種であり、1930年代にはすでに、大型ビル空調用として水蒸気駆動エジェクター冷房装置(10〜1000USRT規模)が実用化されており、技術的には古くから確立されたシステムである。(1)

現在では、一部の研究開発事例を除いて吸収ヒートポンプに取って代わられた形となっいるが、冒頭に述べた低温排熱回収技術の一つとして、作動媒体の最適化や最新の制御技術を組込む形でエジェクターヒートポンプが復活しつつある。一例を挙げると、デンマークの国立研究所では、水を作動媒体とするエジェクターヒートポンプを地域冷暖房システムに適用し、制御技術の工夫により吸収式を上回る年間総合効率を達成する見通しをベンチプラント試験により得ている。(2)

以上の背景を踏まえ、本研究では、船舶機関低温排熱利用冷却システムとしてのエジェクターヒートポンプ適用可能性を検討・評価するための要素試験研究(6.6USRT規模)を実施し、船舶に搭載して行う実証試験へ向けての技術的知見を得ることを目的とする。

* なお、研究開発名では「廃熱」と表記したが、利用可能な熱という意味合いから「排熱」を用いるのが一般的となっているため、本文中でも「排熱」に統一して表記した。

 

2. 研究開発の内容

 

まず、2.1節において作動原理やサイクル特性などエジェクターの概要を紹介し、2.2節で要素試験の結果および考察、2.3節でシステム性能評価についてそれぞれ述べる。

 

 

 

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