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2.2 機関の出力上昇

同一シリンダ径で出力を上昇させるためには、正味平均有効圧または平均ピストン速度を増加させる必要がある。

正味平均有効圧は過給機の性能に依存するところが大きく、現状の過給機性能では、正味平均有効圧上昇による出力上昇は20%程度が限度である。

平均ピストン速度を増加させる方法は、回転数の上昇またはストロークの増加であるが、回転数を上昇させた場合は、中速機関になり低速機関の利点が失われる。

前述の低速4サイクルトランクピストン形機関の利点を生かしたまま出力を増加させるためにはストロークを増加させる必要がある。

 

2.3 研究開発機関について

2.3.1 機関の高さ(図1参照)

トランクピストン形機関でストローク・ボアー比(S/D)を増加させると連接棒の長さが二次曲線的に増大し、機関高さ(H)が増大する。現状の構造では、S/D=2.0程度以上では2サイクル機関よりH/Dが大きくなる。

2サイクル機関ではS/D=3.0〜4.0が実用化されている。

 

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図1 ストロークと機関高さ

 

2.3.2 構造と特徴

研究開発機関と従来の4サイクル機関および2サイクル機関との構造上の相違、特徴を下記に示す。

1) 従来の4サイクル機関(図2参照)

1個のピストンで爆発荷重と側面荷重を受けるため、機関全高を低くすることができる。しかし、出力上昇のため、シリンダ径を増径すると、機関全長および重量が増大し、また、ストロークを長くすると、連接棒とシリンダライナとの干渉を避けるために連接棒を長くする必要があり、機関全高が増大する。

 

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図2 従来の4サイクル機関

 

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図3 2サイクル機関

 

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図4 研究開発機関

 

 

 

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