11. 超ロングストローク4サイクルトランクピストン形ディーゼル機関の研究開発
研究開発名 超ロングストローク4サイクルトランクピストン形ディーゼル機関の研究開発
研究開発期間
開始 平成12年4月1日
完了 平成13年3月14日
研究開発実施者名 阪神内燃機工業株式会社
主任研究者 澤田邦秋
研究開発費
事業費総額 11,337,000円
補助金額 8,600,000円
1. 研究開発の目的
近年、舶用大形機関は、推進効率を上げるため定格回転数を低く設定し、ピストンストロークを長くしたクロスヘッド形2サイクル機関が主流を占めており、しだいに小口径機関の分野にも進出している。これら2サイクル機関の多くは海外メーカのライセンスにより世界中で製造されている。これらは性能的にはほぼ同一で、海外ライセンシーでは安いコストで製造されており、日本のオリジナル機関に対して脅威となっている。
一方、我が国のオリジナル機関である低速4サイクル機関は、その構造上ストローク増加による低回転化に限界があった。今回開発しようとする「超ロングストローク4サイクルトランクピストン形ディーゼル機関」は新しい機構を採用することによりストロークの増加を可能とし、低回転かつ小形軽量、高出力のトランクピストン形ディーゼル機関で、大気汚染物質の排出を低減し、かつ、製造コストを抑えて充分に前述の2サイクル機関に対抗できるクリーンな国内オリジナル機関の開発を目的とする。
2. 研究開発の概要
2.1 低速4サイクルトランクピストン機関の特長と利点
低速4サイクルトランクピストン機関は、下記の利点がある。
1) 中速機関と仕較して
・ストロークが長く回転数が低い。
・摺動回数が少ないため、摩耗が少なく保守費が少ない。
・事故による二次損傷が起こる可能性が少なく、信頼性に優れている。
・燃焼に必要な時間(熱発生期間)のクランク角度期間が短く、熱効率が良い。
・プロペラ直結が可能である。(伝達効率が良い)
2) 2サイクル機関(クロスヘッド形)と比較して
・クロスヘッド、スタッフィングボックス等が不要である。
・機関の構造が簡単であり、保守・点検が容易である。
・機関重量が軽減できる。