2.3 「協調マルチエージェント方式」に関する補足
(1) マルチエージェントの概念
「エージェント」は、分散人工知能の構成要素であり、「マルチエージェント」は、複数のエージェントを協調させることで、問題を解決するシステムである。
(2) 当初の構想
開発当初には、タグボート毎にエージェントを割り当て、複数のエージェントが協調することによって、タグボートの推力を制御するシステムを計画していた。
(3) 現在の構想
開発の進捗に伴い、エージェントの役割を次のように変更した。
現時点では実装されていないが、来年度は次の2つの機能を追加する予定である。
・姿勢制御:フィードバック制御による方位・速力の維持
・外乱対策:フィードフォワード制御による外乱影響の補償
これらの機能を追加すると、タグボートの推力を複数の機能が奪い合うことになるため、限られた推力を有効に使うための調整が必要になる。
そこで、姿勢制御と外乱対策を(操船者に近いレベルの)エージェントに割り当て、それらと推力分配機構との間で協調させることを計画している。
3. 開発の内容
3.1 操船パターンの整理
いくつかのバースにおけるVLCCの標準的な操船手順を調査し、そこに現れるパターンを抽出した。次ページの図4にその要約を示す。
これらは、およそ以下のように分類・整理することができる。
(1) 操船のフェイズ
アプローチ・フェイズ:プロペラ・舵・タグボートを併用し、バースに接近する。
バーシング・フェイズ:タグボートを主に使い、横移動〜着桟する。