2.7 油圧ユニットの合理化
従来油圧ユニットはかなり大型の作動油タンクの天板上に油圧ポンプ、モータ、制御弁、計装品および配管などを配慮したものが定番であった。
本開発ではこのような固定観念を外して、ユニットの合理化ターゲットとして、高度の内部仕上、表面処理の必要なタンクの小型、軽量化、および船内配置の柔軟性をかかげた。
比較的大型のタンクを従来採用してきた理由と今回本開発において採用したその解決法は次のとおりである。
1] 制御用のパイロット圧力を常時維持する為に油圧システム内圧をアンローディング中も作動油の全量について加圧していた。このため総発熱量が多い。この熱量を自然放熱させるためタンク表面積を多くとっていた。
上記を解決する為に、電磁パイロット切替弁ではパイロット圧用小型ポンプを主ポンプとタンデムに結合した形式を採用し、アンローディング中の加圧流量を最小限として、自然放熱用タンク表面積を大幅に低減した。
2] タンク上に全蟻装品を配置する為に広いタンク上部平面積が必要となっていた。
これを解決する為に、タンク上にできるだけ艤装品を載せず、タンクの縦、横、高さ比を自由に取れるようにした。
3] 艤装品が受ける力を受け止める為および艤装品のアライメントを保つため、あるいは平面であるタンク壁面の歪を避ける為に、厚い鋼材を使用していた。
これを解決するためにも、タンク上から艤装品を外し、1ポンプずつのできるだけ小さい、平面配置スキッド構造とした。
以上を織り込んだ試作ポンプユニットを設計した。
2.8 FEM解析
本開発に当り、行った構造決定の為のFEM解析は次のとおりである。
1] 舵取機圧力室全体構造解析
図3に全体の縦断面の、図4にハウジングの横断面の変形と応力の計算例を示す。いずれも安全なレベルにあることが確認された。