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これにより品質、コストとも改善された。また、底板も鋼厚板製として品質、コストとも改善された。

底板と円筒胴との組立は、カバーと同様のボルト結合であるが、パッキン無し+液体接着剤併用メタルタッチ方式と、Oリング併用の2方式を試行した。

耐圧テストの結果、ノーパッキン方式は15Mpaで外部漏れが発生したのでOリング併用方式を採用することとした。その結果外部漏れは解消した。

2] 組立式ロータ

従来ロータのボス部とベーンは一体で鋳込み、ロータボス部の円筒外形を半周ずつ加工していた。

このため、大型の正面フライス盤で、細かい角度に割り出した多角形としてNC加工した後に、手仕上で半周の円筒に磨き上げていた。

ベーンを外すことができれば、ボスは品質のよい均一肉厚の円筒として鋳造できるだけでなく、単純円筒として安価な機械加工が可能である。

組立の方法としては、ボルトでべ一ンをボスに取り付ける方法と、シメシロを付けて仕上たベーンを冷して、ボスの溝に挿入して締りばめとする方法を比較し、構造の簡潔な後者を検討対象とした。

組立式ベーン採用の技術的検討項目を下記( )内のとおりあげて、FME解析により検討した。

(根元をクランプした植込みベーンの油圧による倒れ)

冷しばめの後、常温に戻した状態で、ベーンに働くトルクに対して、ベーンが抜けるなどの異常は、ロータ単独では発生しないことをFME計算で確認した。

(ボスをラダーストックに圧入したときのベーン根元の緊縮力変化)

ボスの拡張に伴い、冷しばめによるベーン根元のボスの緊縮が相当目減りすることがFEM計算で判明した。これに繰返しトルクを掛けるとベーンが溝の中で揺動し次第に抜け始める恐れがあることが判明した。

(ボスの外周にベーンの入るキー溝状の切欠きがある為に、ラダーストックとボスの圧入によるトルク伝達量の目減り)

溝深さを変化させてFEM計算を行い、溝深さに応じたボスのグリップ力による伝達可能トルクの目減り量の把握が出来た。

(ベーンの底と溝の底の間に油圧が進入した場合の挙動)

ベーンの底は、隙間のない接触であるが、この接触面に油圧が進入してベーンを持ち上げないようにする必要があることが判明した。

以上の解析結果から、ベーンを冷しばめとする方式は将来の検討課題とすることとし、今回の試作機はベーンとボスを一体型で製作することとした。

(2) 新形式内部シール

1] セグメントシール

従来凹型断面の背面に、作動油の高圧側圧力を自動選択して掛けた、自封式直線シールを採用していたが、セグメント内に高圧圧力選択弁を組み込む必要があった。このためセグメントは別部品として、弁穴機械加工の後にハウジングに後から取り付ける組立式としていた。

 

 

 

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