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(5) 舵取機アクチュエータおよび舵軸、舵板の艤装にかかわる造船所の設計および船内現場作業の大幅な簡略化及び精度の向上が実現できた。

(6) 油圧ユニットの合理化を実現した。

(7) 構造の合理化の検証はFEM解析と実績のあるものとの対比により行った。

(8) 工場内試運転は通常無負荷で行うが、本開発ではテスト装置を試作し、模擬負荷(油圧差)をアクチェータに掛け得るようにした。また連続転舵が長時間できるような自動切替装置を製作した。

(9) 部品検査、試運転および開放検査を充分行って性能、部品の調和、損傷の無いことを確認した。

以上の本年度開発により、実船搭載可能な力量の異なるシリース機の設計手法が確立できた。

 

2.2 高圧化

(1) 在来機種の常用圧力が7〜8Mpa(リリーフ弁設定圧力=構造設計圧力;8.75〜10Mpa)であるのに対し、常用圧力12Mpa(リリーフ弁設定圧力=構造設計圧力;15Mpa)の目標を掲げた。ベーンの縦横比、舵取機の外形の縦横比、重量、機械加工量等の最適化プログラムを作成し、シミュレーションを行い、最適主要寸法を決めた。

(2) 構造部材の強度計算を行い、予備設計を終了した。組立断面図を図1に示す。

(3) 下記2.3の新構造の採用と相まって高圧負荷が掛かった場合のFEM解析を2.8のように行い、有害な応力及び歪が無いことを確認した。

(4) 試作機完成後耐圧試験を行い、有害な漏れ、変形が無いことを確認した。

 

2.3 新構造の開発

(1) 鋳造部品の合理化

鋳物の品質安定化および機械加エコストの低減を意図して、下記の新構造の検討及び製作を行った。

1] 組立式ハウジング

従来ハウジングの胴と底板は体としてダクタイル鋳鉄で鋳込み、大型の縦型旋盤で切削加工を行っていた。この場合、大容量の溶解設備を持ち、肉厚の変化による鋳物の欠陥を避け得る豊富な経験を保有する鋳物業者を選択せざるを得なかった。又同様に大型工作機を持つ加工業者を選定せざるを得なかった。

これらの業者は単価の高さ以外に、企業数も少なく、工程的に自由度が効き難く、昨今の短納期マーケットでは頭痛の種であった。

図1に示すように組立て型とすることにより、鋳物は単純な筒のみとなり、機械加工は汎用の旋盤で可能となった。

 

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図1 アクチュエータ組立図

 

 

 

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