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8. ロータリーべーン式舵取機の研究開発

 

研究開発名 ロータリーベーン式舵取機の研究開発

研究開発期間

開始 平成12年4月1日

完了 平成13年3月15日

研究開発実施者名 ジャパン・ハムワージ株式会社

主任研究者 畠正雄

研究開発費

事業費総額 14,441,381円

補助金額 10,800,000円 

 

1. 研究開発の目的

 

近年、船舶の運航効率、安全性の向上のために、船舶の操縦性を向上させる要求が強くなってきており、その手段の一つとして、操舵の舵角を従来の35°よりも大きく、45°〜70°にすることが要求されるようになっている。

これに対して、舵取機は、往復動ピストン式あるいはラム式(ピストンスライド式)では、舵角が大きくなると、力率が悪くなったりストロークが過大となることから、機構上、この要求に応えることが困難であり、ロータリーベーン式のみが対応することができる。このため、ロータリーベーン式舵取機の要求が世界的に増加している。

これに対して、我が国には、国産技術によって設計・製造されているロータリーベーン式舵取機は存在せず、現在ロータリーベーン式舵取機を供給しているのは、欧州のメーカのみである。しかし欧州製のものは、作動油圧が最高8MPaまでと低いため、コンパクトさに欠け、また、構造的にもかなりの問題があり、トラブルの原因になっているのが実状である。そこで当社は、これまでの経験の上に立って、作動油圧を最高12Mpaに高めてコンパクト化を図り、また構造的にも画期的な、高性能で信頼性に優れた、コストも合理的な、純国産技術によるロータリーベーン式舵取機を開発することを目的とする。併せて、欧州製のものでは配慮がなされていない、ぎ装工事を簡単にし補修点検を容易にす補助装置も開発する。

 

2. 研究開発の内容

 

2.1 研究開発の全体概要

本研究開発では具体的には下記の要素開発とその総合的な舵取機装置の設計および試作機による性能確認を行った。それぞれの内容および目標の達成状況は2.2以下に報告するとおりである。

(1) 高圧化:定格油圧を既存の欧州製のもの(7〜8MPa程度以下)より高く(12MPa)し、舵取機のコンパクト化、軽量化、高出力化を実現した。

(2) 新構造の開発

1] 鋳造部品の合理化による鋳物の品質安定化、低廉一般鋼材の使用範囲拡大、機械加工の合理化が実現できた。

2] 新形式内部シールの開発によりシールの信頼性を高めることができた。

(3) シール材料を新構造に適合するように検討、実験し、シールの改良をすることができた。

(4) 舵取機の洋上開放が可能となるような構造と要具を開発した。

 

 

 

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