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2.2.4 SURFによる計算

1) 計算の概要

SURFは船型形状に適合する計算格子を用いたもので、物体近傍の境界層を再現でき、粘性影響による流れのシミュレーションが可能である。

ここでは自由表面の影響を含まないダブルモデルでの計算を行った。計算格子を図8に示す。なお計算レイノルズ数は106とした。

 

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図8 船首、船尾付近の計算格子

 

2) 計算結果

図9に表面圧力分布を示す。船首バルブ先端で圧力の急な変化が見られる。また船尾部の圧力分布は複雑なパターンをしていることが分かる。

図10にはAP後方S.S1/4での速度コンターと流速ベクトルを示した。船尾オーバーハング下での境界層と縦渦の形成が捉えられ、船尾付近の複雑な流れが把握できる。

 

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図9 表面圧力分布

 

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図10 APの後方S.S1/4での速度コンターと流速ベクトル

 

2.2.5 CFD計算のまとめ

船首バルブ長さ、速力変化および船尾形状変化の影響を計算した結果、水槽試験とほぼ同様な相対関係が得られ、船型設計に対するCFDの有用性が確認できた。

しかし、現時点ではCFD計算と水槽試験との対比が十分でないため、本船型開発では全体の傾向を見るに止まった。今後より多くの船型についてCFD計算を行い、既存の水槽試験データとの対比により、精度の向上が達成されれば、近い将来CFD計算のみで船型開発が可能となり、開発期間の短縮と開発に要するコストの削減が大いに期待できるものと考える。

 

 

 

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