日本財団 図書館


1) 吸着量α

吸着日数、平均吸着係数、平均透過流速それぞれが大きくなるにつれ、吸着量も比例して高くなることがわかる。

2) 年間採取量WLi

平均透過流速が大きくなるにつれ、年間採取量も多くなることがわかる。ここではリチウム採取船を300日間連続で稼働させているので、吸着日数の影響は表れていない。

以上のことから、リチウム採取システムの有効性を得ることができた。

 

2.5.3 採取コストの試算

今回の実海域模型実験のデータに基づいて、海水リチウムの採取コストを試算する。

バージの主要寸法は長さ180m、幅40m、深さ12mとし、年間300日稼働し、吸着サイクルを20日、設備償却を15年と設定した。

吸着剤は、現在の工場設備で生産した場合のコスト(単価1000円/kg)を考えているが、大量生産をした場合は単価がこれより下がる可能性がある。また、吸着サイクルは20日間と、吸着剤補給は、吸着サイクルごとに全吸着剤量の1%と設定した。

NK規則を満足するように、バージの中央断面の寸法を定め、コスト単価は200,000円トンとした。

排水ポンプ(5,000m3/hで水頭3mの容量)は積層上面に透過する海水流速が1.386cm/secになるように設定するため、48台必要となった。

リチウム採取コストは、

045-1.gif

ここに、F:設備費、S:設備償却費(15年)、Y:年間運転費、WLi:リチウムの年採取量設備費:F=Fs+Fa=48.733×108円(108円=1憶円)

Fa:吸着剤費(単価1000円/kg)2,405トン 24.084×108

Fs:採取船費 24.682×108

バージ(船殻重量単価200,000円/トン)6,686トン 13.37×108

プッシャー 2,000HP 4.000×108

ディーゼル発電機 1,800HP 1.655×108

配電盤、機関関係、電気工事 0.866×108

排水ポンプ(5000m3×4m、48台)、その他ポンプ類 4.790×108

 

年間運転費:Y=C1+C2+C3+C4+C5=4.337×108円(108円=1億円)

C1:吸着剤補給費(Fa×1%×年間稼働日数/吸着サイクル日数) 2.405×108

C2:船舶補修費賎(Fs×2%) 0.494×108

C3:燃料費(燃費145g/HP/h、15円/kg) 0.595×108

C4:人件費(平均給料500万円/年16人) 0.800×108

C5:脱着剤費(必要脱着剤18g/kg、脱着剤単価10円/kg) 0.043×108

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION