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2.5 システムの数値シミュレーション及び性能評価

2.5.1 海水の透過係数

吸着床タンク内に積層された吸着剤の中を透過する海水の流速は非常に遅いので、吸着剤を有孔体と見なして、吸着剤内の流れを解析する。

有孔体の流れは、連続の式とDarcyの式で表される。x、y座標(x軸はタンクの横方向にとり、y軸は吸着床タンク底から上向きにとる)で表される二次元流れにおいて圧力pで表した連続の式は次式となる。

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Q:海水の単位時間の流量、S:タンクの断面積、h1:吸着剤の水中での積層高さ、ΔP:圧力差

以上の計算より(平均透過流速)とk/μ(透過係数)、V/V0(吸着剤の積層高さの膨張比)との関係を求め、これを図10に示す。

これより、タンクに積層した吸着剤の高さには関係なく、透過流速が増加すればそれに比例し、水中での吸着剤積層高さは膨張し、透過係数k/μは増加する。

また、平均透過流速が1.0cm/sec前後であれば、どの吸着剤高さでも、吸着剤層が流動床状態になる。

 

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図10 平均透過流速と透過係数及び積層高さの膨張比との関係

 

2.5.2 吸着係数

実海域での吸着床模型による吸着実験での吸着係数を求めた。現在、吸着剤の改良が進められており、将来的に吸着剤の性能は2倍〜3倍になると予想される。ここでは将来的なリチウム採取量を予測するため、以下に示す式をもとに計算を行った。

吸着剤積層方向の海水中のリチウム濃度Cは前述の吸着剤タンク内において、次の拡散方程式で表される。ここで吸着時間は例えば20日間というように長く準定常的とみなせるので、時間の項は無視している。

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