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2.4 燃料油から取り出した還元剤による簡易脱硝試験

A重油から蒸留分離された還元剤による簡易脱硝試験を図23に示す装置を用いて実施した。A重油10〜50%蒸留分離して取り出した還元剤を用いて、簡易脱硝試験を行った結果を図24に示す。燃料油から取り出した軽質分を還元剤に用いることによって、脱硝特性評価試験で還元剤として用いた灯油とほぼ同等の脱硝性能が得られることがわかった。

 

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図23 簡易脱硝試験装置フロー

 

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図24 燃料油からの取り出した還元剤による簡易脱硝試験結果

 

3. あとがき

 

本年度は、3年計画の最終年度として、液体炭化水素系還元剤を用いた脱硝特性評価試験、燃料油からの軽質分分離基礎試験および燃料油から取り出した還元剤による簡易脱硝試験を行った。

本年度の成果を要約すると、次のようになる。

1] 平成11年度までに設計・製作された脱硝試験装置を用いて、当社所有の試験用ディーゼル機関からの舶用エンジン排ガス脱硝プラント試験を行った結果、液体還元剤として燃料油から得られる軽質分とほぼ同等の成分を有する灯油を還元剤として用い、十分な脱硝性能が得られることを見出した。

2] 平成11年度に行った液体還元剤の気化器評価試験・拡散評価試験に基づき採用された霧化・加熱方式を、本脱硝試験装置に適用して試験を行った結果、規定の脱硝性能を得るために妥当な方式であることを確認した。

3] 規定の脱硝性能を得るために必要な還元剤供給量、脱硝装置を操作する温度域、ならびに還元剤の供給方式など、今後の船舶用脱硝装置設計に必要不可欠なデータを得ることができた。

4] 燃料油としてA重油から蒸留方式により取り出した軽質分は灯油とほぼ同性能であり、脱硝試験に用いた場合でも性能的に不足なく適用できる可能性が示唆された。

今後これらの成果を、船舶用脱硝装置の開発に適用していく計画である。

 

 

 

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