日本財団 図書館


XY自動スキャナはインターフェイスユニットを介し、ノートパソコンを用いて制御する。探触子のジグザグ走査の速度は、1秒間に3往復が可能としており、これにより、360mm/分、21.6m/時間の探傷が可能である。写真1にシステムの外観を示す。

 

024-1.gif

写真1 システム外観写真

 

2.3.3 性能試験

(1) 性能確認用試験体の製作

a. 継手製作:実際にLPGタンクに使用する低温用鋼溶接継手のうち代表的なV開先又はレ型開先の溶接継手を製作した。使用した鋼板は低温用鋼(ABS ALVH053)、溶接法はCO2、半自動溶接で、試作した装置の性能を確認するために、欠陥を内在した試験体を製作した。溶接姿勢は実際のLPGタンクの溶接姿勢に合わせ、V開先は下向き、レ型開先は水平である。

b. 欠陥加工:製作した溶接継手に以下の欠陥を加工した。

1] ブローホール内在試験体:ブローホールは継手を製作する際に、一時的にシールドガスを停止することで所定の位置に製作した。

2] 平面状欠陥(拡散接合による欠陥の内在化):溶接継手をワイヤカットで切断し、切断面に中心から15.0mmの位置に2.0×2.0mm、45.0mmの位置に2.0×4.0mmの楕円形状の欠陥を放電加工で加工した。放電加工後、それぞれの試験体の加工面に鏡面研磨を施し拡散接合を行い欠陥を内在化した。

(2) 性能評価試験

製作した試験体を使用して装置の性能試験を実施した。その結果の一例を図7に示す。放射線透過試験結果及び欠陥加工位置と比較すると、ブローホール及び加工した欠陥をいずれも検出しており、余盛からのエコーは検出されていないことが分かる。これより、本研究で考案した手法及び試作装置の有効性を確認した。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION