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2.2.2 開先形状設定

船殻の溶接継手は板厚、適用する溶接法、溶接姿勢などにより、種々の開先形状が用いられている。溶接余盛からの形状エコーの排除をより確実に行うには、既知情報として本システムに開先の形状を任意に設定できるようにすることが有効と考えられる。そこで、開先形状としてI、V、Y、レ、X、Kの形状を選択可能とし、板厚、ルートギャップ、ベベル角、目違い、表裏のテーパ長さ・深さ、裏当ての板厚、長さ、隅肉溶接長さの設定できるようにした。さらに、表裏で溶接中心線がずれている場合、表裏面の中心線のずれ量を、任意に設定することができるようにした。

 

2.3 溶接余盛からの形状エコー削除機能搭載型小型軽量自動UTシステムの設計と試作

2.3.1 基本機能

探傷方式はギャップ式探パルス反射法(片面両側同時探傷)とし、2チャンネルで探傷を行い、超音波探傷が確実に行われていることを確認するカップリングチェックも2チャンネルで行う。探傷走査方式はジグザグ走査で、探触子の走査範囲は、一回反射法から二回反射法に相当する位置までとした。直射法については板厚が薄く、板厚に対する余盛幅が大きいため、探触子が十分に溶接中心線まで接近できないため、原則として使用していない(直射法の代わりに、溶接部への超音波の伝搬方向が直射法と同じになる二回反射法を採用した)。探傷姿勢は全姿勢となることから、全姿勢での探傷が可能な構造とした。基本機能として、2.2項で説明した形状エコー除去欠陥抽出機能の他、溶接中心線補正機能、探傷条件校正及び登録機能、カップリングチェック機能、パソコンによる一元操作機能、音響異方性チェック機能、Aスコープ表示機能等とした。

 

2.3.2 設計・試作

(1) ユーティリティ及び使用環境

電源はAC100V±5%、50/60Hz、単相、1.5kVAで、接触媒質は使用環境から水とした。

使用環境は、温度が+10℃〜+35℃、湿度が20%〜80%(但し結露無き事)、塵芥が0.3mg/m3以下、振動が0.1G以下で設計を行った。

(2) システム構成図

システム構成図を図6に示す。システムは、データ処理装置(ノートパソコン)、制御装置(インターフェイスユニット及びパルサーレシーバで構成;400W×340H×450D、23kg、従来品は33kg)、及びXY自動スキャナから構成される。

 

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図6 システム構成図

 

 

 

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