2. 研究開発の内容
2.1 欠陥エコーと溶接余盛からの形状エコーの識別方法の検討
2.1.1 薄板溶接継手における超音波探傷試験の問題点
超音波探傷試験は、割れ、融合不良、剥離といった面状欠陥の検出に有効であり、また、欠陥の深さ位置を計測できるという利点がある。しかし、図2に示すように、薄板溶接継手に超音波探傷試験を適用する場合、厚板の溶接継手への適用の場合と異なり、余盛からの形状エコーが現れやすいため、この形状エコーと欠陥エコーの識別が困難である。特に、余盛付近に存在する欠陥からの反射エコーは、余盛の形状によっては、余盛からの形状エコーとほぼ同じ距離に現れるために、両者を識別することが困難であるといった問題がある。さらに、余盛形状も溶接線方向に一定ではなく、余盛からの形状エコーが現れる距離も一定ではない。