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2. 船殻薄板溶接継手の自動超音波探傷システムの開発

 

研究開発名 船殻薄板溶接継手の自動超音波探傷システムの開発

研究開発期間

開始 平成12年4月1日

完了 平成13年3月15日

研究開発実施者名 川崎重工業株式会社

主任研究者 木曽孝

研究開発費

事業費総額 30,890,529円

補助金額 24,000,000円

 

1. 研究開発の目的

 

構造物の溶接継手の検査方法として種々の手法があるが、内部欠陥の検査に一般に用いられる手法として放射線透過試験(RT)及び超音波探傷試験(UT)がある。本研究で対象とする船積みLPGタンクの板厚は橋梁や高圧力容器に使用される材料に比べると一般に薄く、その板厚は8mm〜15mmである。このような溶接継手の検査には従来RTが用いられてきている。RTはブローホールやスラグ巻込みのような体積を有する溶接欠陥の検出に有効であるが、放射線被爆の問題から他作業との並行作業ができず、船舶建造工程効率化の阻害要因の一つとなっている。一方UTは、特に、割れ、融合不良、剥離のような面状の有害な欠陥に有効であり、被爆の問題等がなく、近年、比較的厚板を対象にしている橋梁や鉄骨等には自動UTが広く適用されている。しかし、本研究開発で対象としている船積みLPGタンクは、その板厚が8〜15mmと薄いため、既存の自動UT装置をそのまま適用できなかった。これは、既存の自動UT装置は薄板溶接継手の場合、板厚に対する溶接余盛り高さが大きく、超音波探傷試験を実施する際に溶接余盛りからの形状エコーが欠陥を検出するのに妨害となり、欠陥を検出できないという薄板特有の問題に対応できないからである。

そこで本研究開発では、RTをUTに置き換えることを目的とし、船積みLPGタンクの溶接継手(代表的な構造寸法を図1に示す)を対象に、

1] 欠陥エコーと溶接余盛からの形状エコーの識別方法の検討

2] 欠陥エコーの自動抽出ソフトの検討(溶接余盛からの形状エコーの自動削除)

3] 溶接余盛からの形状エコー削除機能搭載小型軽量自動UTシステムの設計と試作を実施した。

 

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図1 研究開発の対象とした代表的な船積みLPGタンクの形状、寸法

 

 

 

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