2.5.2、2.5.3及び2.5.4の結果から、我々の測定方法においては、塗料表面が親水性の場合、低回転領域から高回転領域まで従来塗料より摩擦抵抗は減少すると考えられる。
2.6 要素技術の統合
2.6.1 概要
これまでの実験結果から得られた最適条件を適用したセラミックス複合塗料を作製し、評価する。
2.6.2 実験方法
これまでの実験から得られた結果は以下の通りである。1]窒化ケイ素微粒子を塗料に複合すると、フジツボ等の海洋生物付着を抑制する。2]塗料を親水性に改質することで、従来塗料より摩擦抵抗が減少する。この結果を試験体に適用、即ち親水性の酸化チタンゾルと、窒化ケイ素微粒子を塗料に複合した。これをSUSローターに塗装し、装置にセットしてトルクを計測した。次に、窒化ケイ素微粒子が生物付着抑制効果を発揮するためには、塗料表面に露出している必要がある。自己研磨塗料を窒化ケイ素複合の相手塗料に選択した場合には、図11のように、塗料が溶出していく過程で内部の窒化ケイ素微粒子が露出するが、タールエポキシ塗料には自己研磨効果はないので、窒化ケイ素微粒子を表面に露出させるには何らかの機械的操作が必要となる。そこで本実験ではセットしたままの状態で塗料表面を順に1000番、1500番、2000番の耐水研磨紙で研磨して窒化ケイ素微粒子を露出させた。