写真15 ローターに巻き込まれた気泡が固まりとなって水面に出てくる様子
2.5.4 塗料の水との接触角の改質
(1) 概要
2.5.3の結果から低回転領域では塗料表面性状が親水性、撥水性どちらの湯合でも摩擦抵抗は減少するが、高回転領域では親水性表面のみ摩擦抵抗低減効果が見られた。本項ではこの結果を実際の塗料に適用し、2.5.3で得られた結果との比較を行う。
(2) 実験方法
従来塗料(タールエポキシ塗料、関西ペイント殿製、エポシールBTM冬型)に撥水性・親水性を付与するために、それぞれ撥水性コーティング剤(松下電工殿製、フレッセラD-A100)、親水性コーティング剤(松下電工殿製、フレッセラR-100)を添加混合した。これらの塗料をSUSローターに塗布し、表面粗さ、接触角及びトルクの測定を実施した。各塗料の仕様を表に示す。
(3) 結果と考察
表7に水との接触角及び表面粗さ測定結果を、図10にトルク測定結果を示す。また写真16、17、18には表面状態を示す。表面粗さ測定結果及び表面観察結果から、3種の試験体は同様の表面形態を有していると判断した。摩廃抵抗を従来塗料と比較した場合、1500rpm程度までは表面性状を撥水性、親水性に改質した塗料どちらも摩擦抵抗が減少した。しかし1500rpmを越えると、親水性塗料は摩擦抵抗が減少したのに対し、撥水性塗料では摩擦抵抗は増加した。水槽中でのローター回転の様子を観察したところ、2.5.3で見られた現象と同様で、撥水性塗料は高回転領域でのキヤビテーションが観察された。今回のトルク測定結果と原因は2.5.3で得られた結果と相違が無いと言える。結果的に親水性塗料は3300rpmにおいて従来塗料より3.4%のトルク低減効果が見られた。