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そしてこの状態でのトルクを計測した。比較のために窒化ケイ素粒子のみを複合した塗料を作製し、トルクを計測した。試験した塗料の仕様を表8に示す。

 

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図11 セラミックス粒子の表面露出機構の模式図と実際に自己研磨塗料から窒化ケイ素微粒子が露出している様子

 

表8 セラミックス複合塗料の仕様

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2.6.3 結果と考察

図12にセラミックス複合塗料の研摩前、研磨後、そして比較として、窒化ケイ素複合塗料およびセラミックス未添加の塗料(従来塗料)についての摩擦抵抗を示す。3300rpmで比較すると、窒化ケイ素複合塗料は従来塗料より0.2%の摩擦抵抗増加が見られた。表面粗さ計で検知できない微小凹凸があると考え、SEMによる表面観察を行ったところ、窒化ケイ素添加塗料には写真19b)のような窒化ケイ素微粒子に起因する10ミクロン程度の微小凹凸が観察され、これが摩擦抵抗増加の原因になったと考えられる。次にセラミックス複合塗料の研磨前の摩擦抵抗は、従来塗料に対して2.0%小さくなった。2.5.4の酸化チタンゾルのみを添加した塗料の摩擦抵抗が3.4%小さくなっているのに対して摩擦抵抗が上昇している。双方の表面を観察したところ、写真19c)、d)のように、1ミクロン程度の微細突起が全体に存在しているのが確認された。写真19c)の左側には、写真19b)と同様な突起の端部が観察されており、酸化チタンゾル、窒化ケイ素を複合した塗料の摩擦抵抗が、酸化チタンのみを複合した塗料より高くなったのは、窒化ケイ素微粒子による微小凹凸に起因しているものと考えられる。この塗料の研摩後の摩擦抵抗は、従来塗料に対して約7%低下した。これまでの実験結果から微小な凹凸でも摩擦抵抗に影響があることがわかっており、表面平滑化の因子が塗料自身の摩擦抵抗低減効果より勝っているものと思われる。

 

 

 

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