鮫肌のようにくさび状の凹凸を形成させた場合には、摩擦抵抗が減少すると言われており2)、表面粗さが大きくなれば摩擦抵抗が増加するとは必ずしも言えないが、少なくとも等方状粒子を用いて塗料表面にドーム状の凹凸を形成させた場合には、凹凸形状が大きくなるほど摩擦抵抗は大きいと言える。
2.5 塗料と水との接触角と摩擦抵抗の相関性
2.5.1 概要
各種手法を用いて水との接触角を変化させた塗料について摩擦抵抗をを評価し、接触角との相関性を調べて摩擦抵抗低減に有効な塗料組成を検討する。
2.5.2 シリカ微粒子固着塗料の摩擦抵抗評価
(1) 概要
平成10年度に実施した塗料へのシリカ微粒子固着技術を用いて、表面の撥水性を向上させた塗料を開発したが、正確な摩擦抵抗測定が未了であったので実施し、撥水性の効果を検証する。また同技術を用いて親水性を有する塗料を作製して同様に摩擦抵抗の評価を行い、接触角と摩擦抵抗の相関性について検討する。
(2) 実験方法
平成10年度に開発した手法とは、塗料表面を写真10に示すようなハスの葉構造にして水との接触角を大きくし、撥水性を付与させる手法であった。微小な凹凸を有する表面は、物質自身が撥水性を有していれば接触角が大きくなり、親水性であれは接触角は小さくなる。上記手法を用いれば撥水性・親水性の高い材料が作製できると考え、試料を作製した。供試した塗料の仕様を表5に示す。親水性シリカ微粉末(日本アエロジル殿製、50)及び疎水性シリカ微粉末(同社製、NAX50)、さらに両粉末を等量混合した微粉末を作製し、計3種類の接触角を持つシリカ微粉末を用意した。2.3、2.4と同様の方法でSUSローターにタールエポキシ塗料を塗布し、即座に微細シリカを塗料表面に塗りつけ、5分後に薬包紙をローターに乗せ、上からローラーで押しつけることにより、表面に微細リカを固着させた。得られた3本の試験体についてトルク測定を実施した。