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3 対策を施した場合のCO2排出量の将来予測

ここではII調査の内容の7.2.2に示したCO2排出量削減方策のうち表3.0-1に示す対策についてCO2排出量の削減(=燃料消費量の削減)の効果を定量的に把握するための試算を試みた。

対策1では、老齢船の早期代替の効果を予測することとした。また、船単体の燃料消費率の削減技術(対策2及び4)の効果について予測した。なお、船単体の燃料消費率の削減技術は、5.2で整理したように2002年から広範に導入可能な短期的技術と、2008年以降導入可能な中期的技術に分けてその効果を予測した。また、減速航行の効果を対策3として予測した。

予測においては、対策3を含めて燃料価格、積荷率は現状のままとし、運航量など船舶運航全体への影響は無視できるものと仮定して、純粋に温室効果ガス削減技術の効果について評価した。

 

表3.0-1 輸送エネルギー効率改善対策内容総括表

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3.1 対策1;老齢船の早期代替を促進し、輸送エネルギー効率の改善を図る場合

船の代替を促進することにより燃料消費率(Cijk)の悪い老齢船が淘汰され、輸送エネルギー効率の改善ならびにCO2排出量の削減が期待できる。この場合、LCA的観点から見れば、船の解撤・代替船の建造に伴い消費される燃料消費が懸念されるが、II.5.1.1で紹介したように、船舶の運航に伴い消費する燃料に起因するCO2排出量に比べて、建造・解撤に起因するCO2排出量はわずかであるとの研究事例もある。よって、船の解撤・造船に伴い消費される燃料に比べ、船の早期代替による総燃料消費量(P)の削減の効果の方が大きいと考えられ、LCA的観点からも船の早期代替は好ましいと考えられる。

そこで、タンカー、バルカー、コンテナ船の全てについて、国際海事機関(IMO)の第46回海洋環境保護委員会(MEPC46)でのMARPOL条約13G規則の合意内容と同等の規制(船齢の最大限を25年とする)がかかるという仮定で、燃料消費量の将来予測を行った。船型別の要件については表3.1-1にまとめた。この対策では付録2章で述べた総解撤喪失量(TL)の予測が、ゼロオプションの場合と異なってくる(表3.1-2参照)。

予測結果を表3.1-3及び表3.1-4に示した。

タンカーは、13G規則の効果をゼロオプションにおいても見込んでいるため変化がない。

バルカー及びコンテナ船では、II調査の内容の4.2節で述べたように、タンカーのような高船齢船への分布に偏りが元々ないため、老齢船の早期代替を促進しても、短期的にも、長期的にも、燃料消費量は単調増加するものと予想され、1997年の燃料消費量に比べて、2010年ではバルカーが21%、2020年には同じく33%の増加となり、コンテナでは、lower case及びupper caseのそれぞれで、2010年では30%及び75%、2020年で62%及び134%の増加になると予測された。

 

 

 

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